脱皮したあとの柔らかい身体で君とサイダーを分けあいたいな #短歌
ひとつぶんだけあたたかくなる部屋 秘密がそっと息をしはじめる #短歌
あつあつのグラタンを吹く、ふーふーって名前がないってきれいだなって #短歌
なんとなく言わないほうがいい気して気づけばずいぶん遠くまで来た #短歌
消毒液のにおい まじ 撃つ 世界まるごと うがいしたい気分 #短歌
なお湿度80%においてジャズは物理的な重力を増すものとする #短歌
身も蓋もなかったの「も」が二回つづく構造のなかの全滅 #短歌
「もしもし夜?」一万個の銀色のナイフが切り刻む夜 #短歌
水を打つ静止のなかで黒だけがただしく白を侵蝕している #短歌
陽キャ(ひかり)が陰キャ(かげ)対義語になれない格差(バグ)まじ、つらみ #短歌
寄生してんのはどっちだ 煮えたぎるスープに沈めてひとつになれよ #短歌
「びしょ濡れのカメレオンだね」って笑って君の体温を確かめたいな #短歌
あかるい暮らしのパッケージを破り君の指先少し濡れてる #短歌
爆弾が落ちてきらきら大好きっ!って叫ぶときだけみんな死なない #短歌
(注・これは月ではありません)というテプラを貼りにゆく深夜二時 #短歌
どちらでもない僕たちが夕暮れのアスファルトの上でひとつに溶ける #短歌
急にホラー サヨナラの代わりに乾涸びた苺のジャムを窓に塗る夜 #短歌
気休めの痛み止めしか持ってない コンビニの袋が指に食い込む #短歌
思い出せないことばかり増えるけど金木犀だけなぜか鮮明 #短歌
「やさしい」という形容が一応は攻撃でないことを願う #短歌
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