戻らないことを責めない部屋だけが静かにひとをやさしくしてる #短歌
月へ行く途中で止めた気持ちだけ水の中でも光っているよ #短歌
透明な嘘のかたちに整えて誰にも触れぬまま持ち帰る #短歌
正解になる似ているほうを選ぶ癖 かごの重さでやっと気づいた #短歌
大丈夫って笑って注ぐその仕草 すこしだけ先に酔ってるみたい 短歌
理由より先に起きてしまったことを正当化するための地図を持つ #短歌
分けあったはずの気配のやさしさがすこし多めにわたしに残る #短歌
ポケットにまだその冷えを入れている ひらがなみたいな夜を歩いて #短歌
追いつくために生まれてくるみたい 影の速度を真似してみるの #短歌
言ってるそばからそれは嘘になる 正しさだけが遠くで光る #短歌
人のことパンみたいって思う夜 ちょっと押したら戻ってくるし #短歌
なんとなく帰れる気がして歩いてる言葉にしないほうがいいこと #短歌
手放せば軽くなるって知ってても浮いてくるたび拾ってしまう #短歌
断らないって優しいのかな ほんとぼくはちょっと怖くなるけど #短歌
触れぬまま置かれた距離のその中ではじまりだけが澄んでくみたい #短歌
泡のあとすこし遅れて来る夜を指の温度で受けとめている #短歌
チャイムより先に消えちゃいそうだからぼくらはそっと息をひそめる #短歌
結び目をひとつ増やして帰る道 夜の途中にわたしを置いた #短歌
置き去りの角度そのまま受け取って帰らない人のぶんまで夜# 短歌
この部屋のルールをまだ知らなくて丸くなったら許される気が #短歌
くすぐるときどうしてかなつかしいはるのにおいがまだこないまま #短歌
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