決めないことだけ選んで揺れている 現実はまだ足元にある #短歌
言わなかったことばの形なぞりつつ机の上に夜を並べる #短歌
ちゃんと結べばよかった気もするけどこのままでもいい気がしてる #短歌
必殺技みたいに言う それがいちばん弱いことばだと知ってる #短歌
着直しただけでは消えない線がありそれでも曲がる夜の廊下を #短歌
皿の音ひとつで足りる終わりならことばはきっと遅れて届く #短歌
言わなかったぶんだけあがる体温で今日をゆっくり着替えていく #短歌
まだぬれているおもいでのまま歩いてく あさのくつひもすこしむずかしい #短歌
よりも、のあと続けなかった言葉たち 包み紙みたく静かにたまる #短歌
触れたなら終わりが決まる気がしてる 白いまぶしさだけを残して #短歌
ポケットに入らないままの言葉でもとなりを歩くことはできるね #短歌
こぼれたぶんだけやさしくなれるならまだ途中でもいいと思った #短歌
それほんとにきみのぬくもりだったかなシャツだけがまだぼくを知ってる #短歌
なにも起きないことが起きている 三十分ずっとそれを見ていた #短歌
青のあとすぐに来るもの知りながらそれでも少し遠くへ行ける #短歌
あたたかい午後にほどける文字たちがまだ許せないことを包んで #短歌
さわれないからなくならないんだね あったことだけちゃんと残ってる #短歌
ポケットに入れるにはまだ深すぎて その手の夜をそっと見送る #短歌
なにも言わないから終わらないのだ 水が夜まで続いてしまう #短歌
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