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2026年05月10日17:55

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ブックオフの閉店セール

 5月10日快晴。
 気持ちのいい朝の澄んだ光。朝食後、春の陽気に誘われて、庭のみならず山裾に溜まっている落葉を集め、植木職人が使っているような巨大剪定ゴミ袋に片っ端から放り込む。いっぱいになったら、山に捨てに行く。昔話に出て来る爺さんを演じているような私。
 10日くらい前、スマホのブックオフアプリに「東戸塚店閉店のお知らせ」が届き、5冊以上の購入で1冊100円と告知されていた。そのためだけにわざわざ片道260円を払って行くこともあるまい、と見送ったのだが、いまだ閉店セールが気になる。
 昼食後、行くことにした。
 東戸塚駅なんて中間層相手の巨大ショッピング・モールと林立するファミリーマンションがあるだけで、ブックオフ以外、訪ねたいところなどない。それでも惹かれているのは、めぼしい古本など残っていないだろう閉店直前のブックオフを、怖いモノみたさで見てみたいのだ。
 入店すると、予想どおり棚はすかすかだった。どうせならもっと早い時期に訪ねるべきだった。が、せっかく来たからには、なんとしてもワンコイン500円で5冊買うぞ、といういじましい気持ちがふつふつとわき上がり、カゴを片手に見始めた。
 単行本の一般書棚で、大学時代の恩師加島祥造先生の『アー・ユー・フリー?』なる100話集があった。あとがきを読むと、先生の講演から抜粋した説話で、先日、高橋源一郎さんの『飛ぶ教室〜はじまりの言葉』(岩波新書)と同じスタイルだ。高橋さんの新書は愉しめたので、加島先生の本は買いだな。
 先生の本からちょっと先に、前登志夫の『羽化堂から』という渋いハードカバーがあった。この吉野の歌人がものした『森の時間』は、心に響く自然描写が多く、そう言えば前さんが亡くなったのはいつだっけ? と思ってあとがきを読んだら、前さんの逝去後にお弟子さんが編んだエッセイ集だった。加島先生本とほぼ同様。
 図書館で借りて斜め読みした『紅葉する老年』(武藤洋二著)があった。版元が私の好むみすず書房ということもあって、今度は精読しようという熱い気持ちが湧いてカゴに入れた。
 吉本隆明の『老いの超え方』という、文字どおり老いをテーマにしたロング・インタビュー集が、俗悪な本に囲まれて在った。これはこれで、老いてきた自分のいい副読本になりそうだ。
 しかし、チョイスした本はどれも黄昏本ばかりで、気が滅入ってくる。老人ホームの図書室に置くとしっくり来る、という本が4冊になると、自分のいまの立ち位置があからさまだ。もっと違うテイストの本が欲しい。
 先月、メルカリで布製の文庫本カバーを買った。まだ使っていない。なので、文庫を一冊買おう。ぜんぜん知らない著者の、中高年が主役ではない小説。
 『星影さやかに』、古内一絵著、文春文庫、非国民と周囲から罵られた父の話。
 表4の梗概を読んでも、どんな話なのかさっぱりつかめない。が、中島京子が解説を書いていて、冒頭、こんな記述から始まっている。
<しん、とした気持ちで読み終わった>
 しん、とした気持ち? 心が澄んだような静けさなのだろうか。
 そういう気持ちにはなかなかなれない。
 どうせ100円だ、本だって人だって出会いは偶然だ。
 というように、1時間半もだらだらと、まるで図書館にいるかのように、リラックスして本と向き合ってた。
 横須賀線の下り電車に乗り込むと、旅行帰りやレジャー帰りの乗客が多くて、ちょっと場違いな自分、というような立ち位置だった(笑)、
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