採り終えてしまえば軽くなる指でまだ触れている春の重さを #短歌
言いすぎたくらいがちょうどいい朝で春の言葉がまだ残ってる #短歌
衣類とは体温のための容器なり 袖の闇より朝がこぼれる #短歌
もう一度眠る理由を探すより許されてる事実を抱く #短歌
これ以上どこにも行けないはずなのに胸の奥だけ加速している #短歌
やわらかく揺れる白さに触れながらほどけている日のしわをのばして #短歌
もう一度食べたことだけしまい込み午後の静けさ見ている机 #短歌
人がいない場所に桜は残ってそれを見ているぼくも残った #短歌
まだ呼ばれないままのやわらかな輪郭で春の内側を歩いています #短歌
春は来ていると何度も言うけれど約束だけがまだ来ていない #短歌
はねってたぶん時間の単位なんだろう 午後が何枚も落ちてくるから #短歌
触れなかったボタンの丸み指にあり きみの名前も呼ばずに帰る #短歌
疲れだの影だと言われ立ち止まる 芋虫の背に夕日が触れる #短歌
さよならが沈んでいると知りながら水でもないのに掬えなかった #短歌
沈黙がこれほど具体的になると言葉の方が嘘に見えてくる #短歌
ひらいた紙の向こうにある広さ そっと両手で包んでみたい #短歌
こんなにもうすい春なら壊れそう だからゆっくりひらいてみせる #短歌
ならないことで守られているもの かたちの前の静けさを抱く #短歌
沈黙がパスポートならこの旅はぼくの名前をどこへ運ぶの #短歌
言わないでいること選びつづければやさしいままの形でいられる #短歌
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