正解はどこにもなくてただ白い湯気の向こうで君がやさしい #短歌
消えたあと静けさだけが残されて皿の白さに夜をひろげる #短歌
こんなにもうすい春なら壊れそう だからゆっくりひらいてみせる #短歌
花の香をほどく指先ひそやかに午後の奥まで春がしみこむ #短歌
おめでとうと言われるほど減っていく ぼくの何かを教えてしまう #短歌
あまいっていっただけでもこぼれるね ふれないままのてのひらのあじ #短歌
まばたきの裏でほどける音だから呼ばれぬままの空を満たして #短歌
帰らないことが近づくというよりもう帰る場所が遠くなってる #短歌
言葉より確かなものを選ぶたび説明できない部分が増える #短歌
だれも来ないことを知ってる花弁がひとつひとつで揺れている午後 #短歌
たぶんもう花より君を思ってる 散るって言葉が軽すぎる午後 #短歌
やさしい匂いに触れているうちに帰らないことも許されていく #短歌
決めないでいることさえもひとつの応え 未完のままのやさしさを持つ #短歌
帰宅とは世界の端を閉じることそれでもどこかでまだ弾けてる #短歌
体温と等しいものに囲まれて拒む理由を失くしてしまう #短歌
大雨で世界が沈み二人だけ浮力を分けて眠るアパート #短歌
栞だけここに残していくみたい わたしの外で朝が近づく #短歌
やさしさが多めの朝だからあいさつだけが空にほどける #短歌
水の音だけが部屋を満たしていてひらいたさくらは眠りに似てる #短歌
ブレーキの音だけが先に届く朝 ぼくらはまだ触れなくていい #短歌
ログインしてコメントを確認・投稿する