もしもしをほどいたあとも耳の奥 小さな灯りみたいに残る #短歌
まあいっかって言えた夜のつづきからちょっとだけ軽い靴で歩ける #短歌
泡消ゆる夜の器に残るもの 指の温度の薄き反響 #短歌
ねえさっき何の話してたんだっけ 金木犀だけ覚えてるんだ #短歌
壊れても残るものってたぶんある それが光でよかったと思う #短歌
まばたきの奥に続いている夜を閉じずにそっと抱いて眠った #短歌
消えたあとここにあったよねと言えるだけの湯気がまだある #短歌
呼ばれないままのやさしさ抱えつつことばの外で息をしている #短歌
触れた指すこしだけ熱を連れ帰りひらく前から季節が揺れる #短歌
満たされないことで保たれるものがあり水面は静かに形を持たず #短歌
理由とはあとから置かれる照明で皿の白さが舞台をつくる 短歌
コップの底わずかに残るぬくもりをそっと傾け夜へ返した #短歌
やさしさはいつも先に帰宅して ぼくはケーキと取り残される #短歌
正しさがいつも遅れてやってくる だから線だけ先に残した#短歌
だれも来ないベンチにだけ置いてきた君の重さがまだあたたかい#短歌
形にはまだなっていないものを壊さぬように息をひそめる #短歌
たたまれたままのやさしさ連れていくまだ帰らない今日の奥まで #短歌
たぶんまだ決めないことが大事でさ ポケットの中 光は自由 #短歌
クッキーの名前を越えて考える、よりも、の先になにがあるのか #短歌
ポストまで行ったら夜の厚みごと指でならして平らに戻す #短歌
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