外れた輪ひとつぶんだけ空がある 追いつかなくてほっとしている #短歌
濁音をそっとひとつぶのみこんでくぐもる声を歌にしていく #短歌
マグカップ湯気だけ残し出ていくね さめない場所をテーブルにして #短歌
掌の水脈ひらき根をのばす 咲くとは内に火を抱くこと #短歌
きょうの空ポケットに入れころがしてサイコロみたいにえらんでみたい #短歌
マフラーの端っこくわえ笑ってる ぬくもりすこし逃さないよう #短歌
カーテンのすきまをくぐるひとすじが かくれんぼだよと花をつつくの #短歌
ばかでいいポケット破れて風入ってそのすきまから歌は芽を出す #短歌
花束は水のなかみたいにゆれていてさよならだけが泡にならない #短歌
玄関の灯りつけずに出た夜は間違ったままでもあたたかい #短歌
指先には体温だけを見て きれいな皿を静かに重ねる #短歌
帰れないんじゃない帰らないんだと言えないままの息を抱いてる #短歌
白線を踏みつけてゆく交差点 信号だけが背中を押して #短歌
透明な椅子ひとつぶんあけておく座らぬままに体温を置く #短歌
光ごと小さな惑星忍ばせて名前ない駅 銀河へひらく #短歌
掌の土だけはらう夕まぐれ 芽吹かぬようポケットに入れ #短歌
リボンだけくるりと残る舗道にはだれのものでもない春の色 #短歌
ころころと光は丸い飴みたい なめずにそっと枕へ沈む #短歌
枕辺に伏せた時計の針すすむ 答えの欄は白紙のままに #短歌
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