聞きすぎて誰のさびしさかわからず 光るピアスを夜に預ける #短歌
春寒のせいにしておく落花とかプランターとかきみとかの全部 #短歌
尻すぼみだった会話をそっと撫で君のつよがり夜にほどける #短歌
ざる越しに水のかたちがほどけてく何も思わぬ指だけがいる #短歌
火を止めてまだ動いてる夜を聴く ひらかぬままの星を抱えつ #短歌
あとからの痛みばかりがほんとうで 触れたかたちを月だけが知る #短歌
結ばない選択だけが残されてページの奥で息をする白 #短歌
袖のなかもう帰らない腕のこと知らないふりでやり過ごす朝 #短歌
あたたかさ先に迎えてくる部屋で帰る場所とは何かを思う #短歌
胸の奥 冬を灯していることがやがてわたしを外へ連れ出す #短歌
名前より先に座っていた気配 わたしはあとでそこに追いつく #短歌
うなずきのあとにこぼれる小さな灯 わたしの声はまだここにいる #短歌
はたらきの糸を引っ張る夜でした ワゴンの奥で絵画みたいに #短歌
忘れものみたいに残るひかり抱き 呼ばれなかったわたしで歩く #短歌
火の玉が息をのみつつ揺れる夜 名前を出せばふっと散るだけ #短歌
芽の下で言葉にならぬもの揺れて理由のかたちまだあたたかい #短歌
同じ湯に身をひたしつつ語らひて月を浮かべむ夜半の湯殿に #短歌
苦しみを標準装備したままでそれでも春の通知を待って #短歌
黙るほど輪郭だけが濃くなって内向きの語に立ち止まる春 #短歌
消しゴムのかすを集めて包む夜 わたしじゃない字がやさしく残る #短歌
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