まだ食べる前の静けさ持ったままフォークの先が少し濡れてる #短歌
靴の裏は消えるものだけど見ていたことは消えてくれない #短歌
みんなもういなくなっちゃったあとだけど夜はちゃんとここにあるよね #短歌
きったあともしずけさだけがつづくからここにいることわかってしまう #短歌
待ってって言えたらなにか変わったかな ひかりの中でまだ考えてる #短歌
くらかったころのほうがよく見えてたね なまえをちゃんと呼んでたからね #短歌
触れたあと気づいたみたいに手を引いてなにもなかった顔をしている #短歌
ほどけたらもう戻れないこと知ってても夜のほうへと花はすすむね #短歌
きえていいものだけきえたらいいのにね 夜はぜんぶを持っていくから #短歌
水のなか あなたの声を探してる 生まれる前の距離をたどって #短歌
洗っても落ちない声を干すようにベランダで夜風にあたってる #短歌
値引きシール剥がしておけばそれでいい きょうを許せる皿がここにある #短歌
再起動すれば済むほど軽くなく指だけ先にきょうを進める #短歌
足先で冬をたしかめながらいる音だけ外に出ていくみたい #短歌
「が」と「を」を迷わせたまま靴を履く正しさよりも速さで生きる #短歌
勝つことの意味をほどけば水となり掌の奥でひかりを運ぶ #短歌
輪郭を失うことで守られるきょうのわたしのやわらかな域 #短歌
近づけば壊れてしまう温度あり やさしさだけが距離を保って 短歌
思考など置いて来たはずだったのに沈黙だけが重さを持った #短歌
落とさずにいられる夜のやわらかさ 指のかたちに少しなじんだ #短歌
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