返却日忘れていいと言う声で背表紙ごと冬がひらいた #短歌
待ってないもうここにいて終わってる 生きるってたぶんそういう作業 #短歌
名の奥に踏み切れぬまま雪駄置く 冬を知らない素肌の罪よ #短歌
受け取りはサインも要らず 冬だけど不在票だけまだあたたかい #短歌
ノートには線だけ引いておくような上質な遅延 冬のなかばに #短歌
奪われたあとも器はここにあり あたたかさだけ静かに残る #短歌
全部出して並べたけれど何もなく だいたい今日は生きてるでしょ #短歌
冷えた皿 触れる指先ためらって喜びだけが先に溶けてく #短歌
蛆を踏み犬の呼吸はまだ続く冬を数えて遠くを見てる #短歌
降りる人みんな生きてる顔をしてそれだけでいい夜にしました #短歌
電源を切っても奥で鳴るものよ 静けさだけが肌を濡らして #短歌
冬ひかるまひるまの道「待つ」ひとつ言えずに口を閉じてしまえり #短歌
再開発 光が揃うその前に 闇が灯してた名前を思う #短歌
指先に理由が先に立つ夜だ 名前を呼ぶと遅れてしまう #短歌
水の前 言えない熱が肌を打つ 花は罪めき夜へほどける #短歌
ほどかずに鈴を抱えた夜の肌 鳴らさぬ罪が熱を深める #短歌
もう全員簡単な斉でいいじゃんか 画数多いと生きづらいんだ #短歌
嫌なこと覚えたままで生きる肌 それでも今日を脱がずに眠る #短歌
ひとつだけちゃんとしてれば大丈夫 明日って案外勝手に来るし #短歌
画面先 空はもう晴れ知ってるよ 現実だけが読み込み中で #短歌
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