カーテンの向こうで死者が息そろえ海鳴りほどの拍手に濡れる #短歌
地下鉄の輪に指をかけ目を閉じる揺れてる間軽くなる罪 #短歌
灯りとは逃げ道みたいな顔をしてまっすぐ黙る非常階段 #短歌
ざわざわと羽根をもらった窓たちが逃げる練習空に習う日 #短歌
まぶたからこぼれたにおい名前つけ眠気とよべば夜は静まる #短歌
朝の前握ったままの静かな手 果実は光りかたちをなくす #短歌
地下深く弔い終えて風が来る はるかな時間肌に残して #短歌
眠れずに舌の奥から灯る音 触れない距離で名をあたためる #短歌
えんぴつでなぞる将来うす青のふうせんみたいほどけて空へ #短歌
日陰には水の記憶がほどけいて少女のかかと光を踏まず #短歌
感嘆は寝息に変わり夜を越す 吹雪の外と同じリズムで #短歌
つなぐためスマホは胸で踊りだす呼ばれぬままの星を数えて #短歌
白い指 傷を囲んで頷いてその程度って言わないところ #短歌
夜風吸いピックのかわり胸を掻く弾いてるふりで帰る道かな #短歌
剥がされるシールの端を撫でながらまだ食べられる顔で出社す #短歌
消しゴムで消える前提みたいだね 書かないことも線になる日々 #短歌
風の中ひとり軽くなり歩きだす空の広さに体温を置く #短歌
靴音が外階段でも浮かびあう地下の夢より明るい扉 #短歌
ぬいだあとひかりは残る 香水のうすい膜こそわたしなんです #短歌
ぬれている生きものと影並べれば日の落下音が町を閉じてく #短歌
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