値上げ表貼られた朝の台所 窓だけがまだ成長を知る #短歌
泣くことで空洞はまだあたたかく息を通して音になるまで #短歌
ルマンドの殻が残した時間差で風はようやく羽音になった #短歌
撒く前の骨を見つめて瞬きを母の指だけ潮を知ってる #短歌
探さずにいてと願ったわけじゃない声が季節に紛れただけで #短歌
病室の静けさだけが知っている転がる赤の重さと速さ #短歌
浴槽で夢まで丸くなっていて外に出る理由まだ知らなくて #短歌
こぼれたの言葉の方が先だった疲れはまだ締まったままで #短歌
手ぶらでも帰れる夜に霙降り白は白のまま街を許して #短歌
とんがりをはき違えたこと気づく午後 あなたと選んだ道 確かめる #短歌
一撃で片付く未来を待ちながらわざと迂回す午後のひかりは #短歌
点滴をつまんで口に入れてみた メリー苦しみますって味がした #短歌
眠りから起きて確かめ伸びをするまだここ全部ぼくの重さだ #短歌
冷えた眼で見ていた死にも体温があとからそっと追いついてくる #短歌
飛べぬまま布団に潜む午後三時 夢だけ軽く売られて帰る #短歌
にせもののあたたかさだけ信じれば閏日の夢も目を覚まさない #短歌
削除後の余白がいちばん沈黙で問いは靴底向こうに残る #短歌
くらやみに入る順番を待つように花びらたちはまだ円いまま #短歌
チェック後の静けさだけが正しくて王の白さは誰のものでも #短歌
ゆっくりと壊されてなお白は白 塔だった時間 角に残って #短歌
言えなくてたとえ話にしてみたらほんとのことが長生きをした #短歌
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