ここでプレゼントのお知らせですと言う声 少し遅れて花がひらいた #短歌
はじまりは鉄棒だった 掌の皮めくれてみても空を見ていた #短歌
うすい幕ひらりておりて残るものたぶん笑顔のはしっこの線 #短歌
おかっぱの線をきれいに切りそろえ今日も世界の線がまっすぐ #短歌
まるい空傘をたたんで見上げれば音にもならぬ雨の所在を #短歌
コスパって言葉のなかで眠ってるなにかを撫でて帰りたくなる #短歌
リードにも方向がありわたしたちあしたへゆくと知らずに曲がる #短歌
定時にはあがれませんで窓の外 街の色だけ正しく暮れる #短歌
甲乙の約束書には汁の跡 ぬるい正義をすすりなおして #短歌
鏡にはまだ乾かない指のあと言われた通り風を信じる #短歌
すれすれに陽をこすりつつ飛ぶかげの名を保つため秋をまとえる #短歌
湯気のなかゆっくり冷める茶のように言葉の角を溶かしてしまう #短歌
Wi-Fiって心の距離に似てるなと切れたリつながったりしてるうちに #短歌
炊飯器まだ湯気を吐す玄関でわたしの席を誰かが作る #短歌
換気扇まわる部屋には匂いなく別の暮らしの衣はためく #短歌
カット後の静けさだけがほんとうで「行かないで」とは誰も言わない #短歌
ふるえてた雪ではなくて翅だった 誰も知らない王がとおった #短歌
逆立ちの包丁だけが息をして誰もいないを確かめている #短歌
あのときの沈黙すらも規則内という顔して君が笑った #短歌
ひらがなを撫でては消して撫でてはさまた果てのしれない光がにじむ #短歌
★
ログインしてコメントを確認・投稿する