初心者のための油彩画入門 印象派と伝統絵画の共通点
印象派の絵画も伝統的な絵画も、同じ造形で成り立っている。造形が変わり始めるのは、セザンヌやゴッホから。ポスト印象派から西洋絵画の造形が大きく変化し始める。この辺りは、専門的過ぎるので、初心者には、ハードルが高いと思うが、印象派の絵画が、革新的というのは、半分そうだが、半分そうではない、というのが実際だ。当時のサロンの主流だった伝統的油彩画も、印象派の影響を受けて変化し始める。それが、タッチを重視した具象絵画だ。造形は、変わらないが、表現を変える描法が流行する。この流れにあるのが、黒田清輝の油彩画だろう。伝統的な西洋絵画の造形は守りながら、印象派風の描法の影響も受けている。というか、当時のサロンの影響と言った方が正しいだろう。それだけ印象派の絵画は人気になっていた、ということだろうと思う。サージェントも印象派の影響を強く受けていて、作風も大きく変化し始める。この流れは、その後、しばらく続くのだが、現代の具象絵画は、逆に、伝統的な具象絵画の影響が強く、印象派の影響は、あまり見られない。世代にもよるが、若い具象画家程、この傾向が顕著だ。印象派ではなく、その前の西洋古典絵画を研究して、その描法を学び、自分の油彩画制作に取り込んでいる。グリザイユやカマイユもその1つだ。印象派は、グリザイユを使わない。印象派以前のサロンの絵画では、グリザイユやカマイユを下絵として使う描法が使われていた。印象派の人気と共に、サロン系画家にアラプリマが流行り始めたとも言えるだろう。サージェントがその典型だ。フランスからイギリスに渡ったサージェントは、アラプリマで肖像画を描き、人気画家となった。依頼主がアラプリマで描いて欲しいと依頼するのだそう。ただ、印象派や、アラプリマ、また、タッチを生かした描法は、非常に高度で難易度が高く、初心者には、実は向いていない。人気なので、初心者もやろうとするのだが、ほぼ、失敗する。ベースができていない段階で、アラプリマで描くのは、無理なのだ。タッチを生かした描法にしても、タッチの意味が分かっていない段階で、タッチを使っても、メチャクチャになるだけ。ゴッホの作品がタッチで描かれているが、あれを初心者がやっても上手くいかないのだ。タッチは、音楽で言えばリズムであり、メロディでもある。非常に音楽的で抽象的、そして、時間を含んでいる。時間を取り込んで描くのが、タッチによる描写であって、非常に難易度が高い上級者向けの描法になる。動きのある素晴らしい作品になる一方で、簡単に描けるようなものではない。サージェントのアラプリマもそうで、現代のトップクラスの画家であっても、サージェントのアラプリマを再現するのは難しいとされる。どちらにしても、初心者向きではない。絵画は、その描法に、難易度の違いがあって、高い力量が求められる描法が存在する。だが、逆くに、難しそうに見えながら、しっかり段階を踏んでいけば、初心者でも作品として仕上げることができる描法もある訳だ。この違いを、見分けられないため、失敗する初心者が多くなってしまうのだ。経験豊富な先生は、それが分かっているので、初心者を育てることができるのだ。有能な先生に付いた初心者と、そうでない初心者では、大きく差がついてしまう、ということになる。独学は、最初からハンデを背負っているということを覚悟する必要があるだろう。その最たるものが、やってはいけないことをやってしまう、ということ。やってはいけないことは、やらない、これが肝要。
ログインしてコメントを確認・投稿する