初心者のための油彩画入門 トレースと画家
実は、西洋の画家は、昔からトレースをしていた。そのトレースに使われていたのがカメラ・オブスキュラという道具。ピンホールカメラだ。その後、レンズを使うようになり、さらに、銀版が発明されて画像を定着できるようになった。このカメラ・オブスキュラを画家が使用していた訳だ。画家とトレースの関係は、非常に古い。どうして、画家がトレースを利用するのかというと、形を正確に取るためだった。ピンホールカメラは、それ程、鮮明に映る訳ではないが、形は、正確に映せた。その形を紙になぞって、それを絵にしていたのだ。現代の画像をトレースして絵を描くのと同じやり方を、昔の画家もやっていた。絵画の中には、正確に描く必要のある絵も存在したためだ。記録としての写真の役割を画家が担っていたということだ。絵画作品を描くためにも、カメラ・オブスキュラは、使われるようになり、カメラ・オブスキュラが使われて作成された有名な古典絵画も知られている。群像などを描く時には、写真を使うと作業がはかどる。カメラが普及し始めると、アングルが、反写真活動を主導して、写真撲滅運動を展開していたが、その影響を受けて、写真のトレースを嫌う画家も存在する。アングルが権力者であったこともあり、反トレースが思想として残った感じだ。だが、アングルの写真撲滅運動は、当然の如く否定されている。アングルの写真を敵視する思想は、社会に受け入れられなかった。新古典派のアングルは、ロマン派を敵視したりと、新古典派意外の絵画を認めようとせず、偏見と独善的価値観の強い画家だった。そのため、アングルを嫌う画家も多い。そんなアングルの反写真活動も理由が利権と私利私欲なので、肯定されることはなかったのだ。写真が画家にとって都合が悪いので弾圧してしまえ、という発想だった。アングルは、巨匠として評価される一方で、思想的には、かなり忌み嫌われる存在でもあった。新古典派と他の画家とは、考え方そのものが大きく違う。実際のところ、写真を利用して作品を描いていた画家は、非常に多い。
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