スプーンで崩せるようにしておいた心の奥もやわらかすぎた #短歌
たのしくてでも泣きたくてあのころの私が笑う練習してた #短歌
昨日の負けがまだやわらかく残りいて朝の白湯にうつる顔あり #短歌
一人称きみに合わせて変えながら指のかたちで嘘をまもった #短歌
台詞より先に手の置きどころ決め 父という影 光の中に #短歌
言い訳のような青さの薬瓶 きょうも生きますと小さくうなずく #短歌
言葉よりもやわらかくなる手のひらで才能とかを撫でてしまえば #短歌
穴のなか風がひとつを運んでてどれかの声に似ていたとして #短歌
夜の駅わたしの影を連れてってひとりがだんだん増えてく気配 #短歌
誕生日でもなんでもないのにねケーキを買って帰る夜です #短歌
スーパーの値札にゃ外連味ねえけどな生きてくぶんの地味はあるよな #短歌
まっぷたつころものはらのなかにあるしずかな雨をすこしだけ見る #短歌
ぶらさがる時間の棒を見ていたらわたしも少し溶けてしまった #短歌
たしかめるように箸入れその下の肉がひかりを返してくるよ #短歌
もう二度と確かめられぬこととして干したシャツから風が抜けゆく #短歌
夢だった気がしてきたる夕まぐれ傘のしずくを見ているあいだ #短歌
煙よりはやく沈黙立ちのぼる川を見てきた指が冷たい #短歌
契約はもう終わりです 風のなか名を呼ばれずに書類が舞った #短歌
冴えわたる信号の青 人々のうちがわにある未明のぬくみ #短歌
量産のひとつに君を混ぜてみてやさしい形ができすぎている #短歌
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