初心者のための油彩画入門 情報の整理
フォルムは狂わないのが良い、と、フォルムが狂っているから良い、は、同じ。これが、絵画。デフォルメは、意図的にフォルムを狂わす手法。絵を描く人は、デフォルメを頻繁に使っている。だが、基礎デッサンの段階では、できるだけフォルムは狂わないように描くことが良いとされる。ハイパーリアリズムでも同じ。デフォルメは、あまり使わない。どちらが良い悪いの問題ではなく、相反する価値観が並立していて、基礎デッサンで形が狂っていれば、これは、評価されない。だが、作品としては、デフォルメは評価される。そこに絶対的な評価がある訳ではない。ここを勘違いしている人が結構多い。情報が整理されていないためだ。有名な話しだが、ある生徒さんが、高価な油彩画用の筆を買った。絵画教室の先生が、筆は洗ってはいけないと言ったので、その高価な筆も洗わなかった。で、絵の具が乾き、筆がカビカビになって使いものにならなくなった。高価な筆が使い捨てにされた、というエピソード。筆は洗ってはいけない、というのは正しい。だが、筆は洗わないといけない、というのも正しいのだ。状況を理解していないために誤解してしまっている。油彩画を制作している時には使っている筆は、筆洗い液では、洗わない。洗うなら、揮発油を使う。先生は、このことを説明した。だが、その生徒さんの頭には、筆は洗ってはいけない、という情報だけが入っていた。その日の油彩画制作の作業を終えたら、必ず使った筆を洗う。作業の締めだ。あまりに当たり前なので、先生は、説明しなかった。先生は、筆を洗わない人がいるとは、思ってもいなかったのだ。先生が悪い訳でも生徒さんが悪い訳でもない。お互いが勘違いしてしまったのだ。こんなことが実際に起こる。筆を洗う、ということだけでも、誤解が生まれる訳で、絵を描く上での勘違いは、結構多い。油絵具とアクリル絵の具の混合技法でもそうだ。そこにはルールがあって、アクリル絵の具の上に油絵の具は乗せられるが、油絵の具の上にはアクリル絵の具は乗せられないというルール。下絵をアクリル絵の具で描いて、油絵の具で仕上げていく場合がある。乾きが早いので、一時期美術系大学の入試で、受験生が良く使っていた手法だが、大学が、ある時、絵の具の持ち込みを禁止した。受験の時、油絵の具を支給するようになったのだ。たぶん、アクリル絵の具対策だったのではないかと推察する。油絵の具だけで描いている受験生とアクリル絵の具で描く受験生で、絵の完成度に差が出てしまったようだ。アクリル絵の具は、乾きが早いので、短い時間で、どんどん描き込める。アクリル絵の具は、受験向きなのだ。アクリル絵の具を使うことが悪い訳ではないが、状況によっては、禁止もされる。状況や条件によって、判断は、変わるということ。
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