出囃子が鳴り止まぬまま袖の中 笑えぬ顔を整えている #短歌
NIKEまで水に沈んでやわらかい世界を履いて歩けぬままで #短歌
カメラには映らぬ声がひびいてる手の汗のなか言葉の外で #短歌
推測の尾ひれをつけて泳いでる魚のような午後の会話よ #短歌
いかにもと言いたくなるよな赤ちょうちんまるいテーブル 水はぬるめで #短歌
ふるえない声の奥にも波がある 喉の温度をたしかめている #短歌
延命を拒む書類に花が咲く わたしの指がまだあたたかい #短歌
透ける声マイクの奥でゆれる影 インタビューとは水をすくう手 #短歌
たぶらかす側にも風の言い分が知らぬふりして頬があたたか #短歌
伝えるはやるせなきこと編集の音を抜くたび息が鳴りだす #短歌
不発にも軌道はありてその中を歩くわれらの影のこだまよ #短歌
謝罪とは息のにじみでありながら鋏の重さ受け取る指に #短歌
カラオケのない夜ふかく息をして言葉はただの飾りになれり #短歌
行間にこぼれたままの人生を拾いあげれば声が吹く風 #短歌
バレていいことしかしてないつもりでも笑うあなたに心が逃げる #短歌
鏡越し選ぶたびごと息をのみ遺影のなかの笑みが手招く #短歌
白黒の温泉街には夢が湧きつげ義春に出そうな顔で #短歌
春の野に雌牛ならび音もなく伝えぬ選択しかりを孕む #短歌
CMの間に考えといてねと言われて流す油のきらめき #短歌
いつかまたカメラの前で笑うだろ 完璧な市民演じきるまで #短歌
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