哲学書でそんなに白熱すんなってコーヒー冷めて煙がのぼる #短歌
いつも同じところで目が覚めて世界がまた折りたたまれてる #短歌
性善説すぎるあなたの手の中で壊れぬように息をひそめる #短歌
猿がいて見る前の花すべて食う ああ終らせ方を知っている #短歌
売り切れの女とそうでない女とを見ている電信柱の影ふたつ #短歌
わざとかじかませたい指の先 あなたの名だけ冷たくなる夜 #短歌
見られてることを知ってる熱帯魚 きらめく眼には私が写ルンです #短歌
まぶたにも夢の重さをわけあえば生まれたばかりの昼がのびゆく #短歌
真ん中の穴から現金出てくると思ってたころまだ産めたころ #短歌
ネガティブを言い訳にして息をする朝の泡立つコーヒーの音 #短歌
安心が街のかたちに似てしまい蛾の羽根だけがひかりを撫でる #短歌
安い肉焼けてゆく間に湿り気を分け合うように口をひらいた #短歌
泣いた子の呼気まだうかぶ鏡面に光の輪だけ残ってまわる #短歌
床ひかる甘酒の湖ひとりごと誰の失敗もすぐ乾いてく #短歌
光ってるクラゲの寿命と放送とどちらが短い話をしてる #短歌
削除した曖昧さまで数えたい 生まれ下図をまぶたに戻す #短歌
夕立のあとに残ったカーテンの湿りを抱いて暮らすふたりで #短歌
言葉など誰の耳にも沈むもの波立てぬまま時効が過ぎる #短歌
ドラムロール待てない指が鳴っている 結果より先に心が出てく #短歌
ラムネ瓶ゆれる青空逆さまで君の声だけ泡になりけり #短歌
★
ログインしてコメントを確認・投稿する