名前には響きの中の異国めく知らぬ料理も歌のごとしよ #短歌
曖昧に罪を流して朝が来るびっしりとおる目の縁に影 #短歌
むすびめをほどけぬままで指に触れ夜の気配に息をひそめる #短歌
監視する黒いまなざし返すだけシロだけ告げて影が吊られる #短歌
泣いていいって言ってくれるからさ わたくしの涙は飾りのように光るのです #短歌
V系と理系クラスに裂かれたる朧月夜の校舎よ眠れ #短歌
閉じた戸の音を雨が抱きとめてあなたの背中はもう見えなくて #短歌
映画館のいすに沈んで息をつく本人役ならそこにいけますか #短歌
パン祭り切手の柄にパンはなく白い封筒やさしく重い #短歌
ページ追う視線のはやさ眩しくてこけしの目尻もしだいに滲む #短歌
持ち帰る手段をなくし抱きしめた布団の重さは街に溶けゆく #短歌
裸婦の絵を褒める声まで眠りゆく未来にひそむ傷口のように #短歌
検索するたびにひとりの部屋となり 画面の青を水槽として #短歌
シャフトめく角度の絵さえ語り合いいまは罠だと笑える日まで #短歌
刷りたてのあたたかさだけ持ち歩き名前のない日また始まって #短歌
霧の中 檻をかたどる問題を桔梗の花の青さで解くよ #短歌
死んでさえ誰も来ないと言いながら灯影の海月 静かに泳ぐ #短歌
つないだら夏のてざわりひとしずく手のひら残る青い夕暮れ #短歌
蚊にさえも喰われぬままに夜を越え独りの影を雲に映して #短歌
エアマックスで泥にまみれて駆け上がるほんとのことは霞が知ってる #短歌
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