傘を貸すその代わりにはシールひとつ どちらも雨の記念みたいだ #短歌
吹き鳴らすアルトの音にひらかれる食虫植物 苺は赤い #短歌
新作を見せるたびごと言われるよ 初期のきみこそほんものだったと #短歌
宝石のことなどよりもみずみずし 桃のしずくが指を伝った #短歌
転生を断ったひとの夢のなか使い残した回数券ある #短歌
大丈夫か 日本のことを気にしつつビール3本でもう寝てしまう #短歌
なにもかも白く塗られて落ち着かず牛乳こぼす夢を見ていた #短歌
五本足それでも蟻は歩き出す 笑ってしまう無理な真面目さ #短歌
疑問符がまだ刃物にはなりきれず机の上の花瓶が光る #短歌
何度でもおかわりできる運命を信じるようにレバー押してる #短歌
やわらかな都会の白にまぎれこみ わたしは今日をまだ終えられず #短歌
見つからぬページのなかで眠りおり妹のコイビト 今日で一年 #短歌
終わらない宿題ひとつ抱えおり隣の部屋で起こる革命 #短歌
嗚呼いまは自我の鉢植え世話をして知らぬ間に咲く黒いひまわり #短歌
通知音ガラケーみたいに軽やかで失くしたままの影があるなり #短歌
屋根ばかり並んで並んで終わらない出口ない夜アンプが唸る #短歌
雨宿りひとだけが耽る時間には傘のしずくが秒針となる #短歌
青空に届かぬものを知りながらキリンの首は神話をのばす #短歌
イミわからん世界の端で泣いている 蝶の触覚数式なぞる #短歌
駅前のコンビニばかり光ってるデイリーヤマザキ夜をせばめる #短歌
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