白菜の芯を切るとき思い出す孤独は案外白くて硬い #短歌
いまここに君ゐる夜のことをまだ知らぬ星座が雨にまぎれる #短歌
本屋でもらった袋の底の方 結婚すすめるまぶしいチラシ #短歌
あとで聞くはずの経緯はふわふわと雲みたいなものだったのかも#短歌
犬なのに「みけ」と呼ばれて振り向いてその名前では猫じゃないのか #短歌
そばがらがしゃんしゃん鳴いて眠れない 濡れた頭はまだ乾かない #短歌
通話口にひびく返事は遅れ気味 ラジオの世界いま追いつけず #短歌
手のなかで転がしきれず落ちてゆく青春という言葉のかけら #短歌
君とだけ顔を見合わせ頷いた 三番目から世界はひらく #短歌
光りおり白き波間に息をしてうまれ直せるその夢を見た #短歌
まるでまた倒れそうだとつぶやいて髪をほどけば髪のにおいす #短歌
回転木馬ふたりで乗ってもさみしくてほうき星まで目で追いかける #短歌
泣きそうな雲をあっさりうらがえし 塩むすびから食べる夜更け #短歌
夜明けにはまだ濡れながらうたうたい太陽そして愛の名のもと #短歌
倒れたるボトルを戻す手のなかにつめたい夜の水がしみこむ #短歌
ひとすじの糸をたぐれば記憶にも曼珠沙華咲く くるくるとまた #短歌
つぶれゆく石鹸小さくひかり帯びひとりの祈り手に宿りたり #短歌
火をまとい甘きにおいは空へのぼる 供物のごとき豚のいのちよ #短歌
遠ざかる轟きさえも雨となりあをき世界をやさしくぬらす #短歌
今日はまだ夏だったのに焼芋屋がいてなんとなく帰った #短歌
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