追い越されすぐに笑顔を取り戻す猫と目が合う午後の交差点 #短歌
そこまでは走ると決めた子の笑顔 つま先だけが空にとどいた #短歌
マンションの五階ベランダ三日月がちょうどいい高さで笑っているよ #短歌
夜空にはなにを置いてもいいらしくてきとうな座に笑ってしまう #短歌
上下するライトの下でヘイ、ジョン、わたし西部の夢を見てるの #短歌
改札を出ればネオンの雨が降りここでよかった気がしてなりぬ #短歌
ジャニーズを酷評してたカフェの隅 同級生の名まえを呼ばれる #短歌
イヤホンをほどく指先むなしくてさっきの駅で降りればよかった #短歌
コンビニのアイスを溶かす日ざしにも二時間半の無駄はやさしい #短歌
ガムだけが口のなかでは居座ってどこにも行かぬ夕方の駅 #短歌
映画では出奔したと字幕出る わたしはただの改札を出る #短歌
缶コーヒー飲みほすころに気づいてる穴の方のしか進まぬ午後に #短歌
横並び歩行レーンをふさいでは水のなかなる小さき革命 #短歌
冷凍庫ひらけば奥にまだ残る保存しすぎた気持ちのパック #短歌
父親のまなざしひとつ避けているシャンプー飲み泡の重たき夜に #短歌
齧りあと残してしまうバスのなか 窓にひろがる夏のひかりよ #短歌
人のため走る兄貴を持つつらさ まあまあだるい夕暮れのこと #短歌
ポケットに小さな光を忍ばせて今夜きみだけ照らすライター #短歌
納得のふりを重ねて笑い合う 友との距離は五年分ある #短歌
客引きのまま目を閉じたヘッドライト 夜はみんなで眠るらしいよ #短歌
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