眠れぬ夜のベッドに沈むナイフほど優しさじゃないものがほしかった #短歌
古池さん知らぬ人にはただのシミ わたしにだけの肖像画かな #短歌
ひとりでは減らないボトルまた増やす 家でも飲めるやつを選んで #短歌
スマホには発電所ほど熱がある 君に触れるのためらう指先 #短歌
ゆげのなかくりかえし見る健康法 それが銭湯 銭湯である #短歌
続々とひらく葉たちのまんなかで私は古いノートを開く #短歌
小さな背振り返らずに進むのを意思と呼ぶならそれも歩みか #短歌
スイッチを入れるたびまた思い出す自分ひとりの灯りの在処 #短歌
ひとくちの在処お酒はわたしだけのもの舌に残して黙っていたい #短歌
ひそやかに弟の声がのびてゆく スナックの椅子ひとつの不思議 #短歌
ひと粒の黒き葡萄に影があり考える人動かぬままに #短歌
渡る風丘にひろがるひかりかな 梢ざわめき空をほどいて #短歌
相槌をひとつずつ打ち頷けば甘き葡萄は舌にひろがる #短歌
十三夜ふと立ち止まり花を見る 君の面影風にまじわる #短歌
東のはて風のひかりに稲を刈る つづく景色はだれのものだろ #短歌
ざわざわと地名がうごく水の上まだ会ってない人のにほいす #短歌
葡萄園ちらりと見えたひざぐりの二両電車の鈍い加速よ #短歌
踏切を渡ってすぐに開けたらここより先はパル商店街 #短歌
巴里祭という名前のランチセット 洋食屋には箸がそろって #短歌
犬の鼻押しつけられてたまるかと夢のつづきをまだ歩いてる #短歌
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