踏み出せば地面の気配が遠くなりそのままどこか知らない場所へ #短歌
前髪だけ風にあそばれ画面からそっと外れてくあなたの気配 #短歌
境目で立ち止まっているわたしだけ無限階段に胸がついてく #短歌
ふきげんの合図を出して待っている君だけがそっと笑ってくれる #短歌
手と手とのわずかな隙間確かめてこのまま境を越えてしまいたい #短歌
金属の重たい音が転がって甘栗の香りそっと立ちのぼる #短歌
だれもまだ気づいていないその場所で夕日だけが動かす世界 #短歌
つけっぱなしのスマホが光る夏の街 ホタルの生まれ変わりと思う #短歌
押された朱 乾かぬうちにふり返る あれは徘徊する昼の月です #短歌
同じ手つきくりかえしながら結ばれて餅巾着だけが小さく息する #短歌
著作権を侵してしまった白い皮 誰にもふれずに今日も土の中 #短歌
熱いまま手で整えたその先にわたしの知らない形が立ち上がる #短歌
夏がまた来ると思えば思うほどあれもこれもが古い光景 #短歌
水の音 遠くで割れる昼下がり 財布の底は他人の匂い #短歌
サ行ではまだやわらかいその壁をダ行の響きがゆっくり固める #短歌
ことばよりすこし手前で立ち止まり まだ名付けられぬ小さな重さ #短歌
火薬より遅れて来るのは闇の音 うつむく顎に汗がひとすじ #短歌
大丈夫 笑ったりしない だからいま こぼれた欠片をそのまま見せて #短歌
赤い影 セロハン揺らす粉ジュース飲み干した僕 どこか浮いてる #短歌
ファミマの自動ドアまたくぐってる同じ日常少しずれるね #短歌
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