屋上はもう乾いてる ペットボトルの影ひとつぶん 君の死後まで #短歌
あの日の影の長さまで覚えていてわざと間違える午後の郵便 #短歌
何か欲を君に向けるとき ためらいの六月をめくり七月をめくる指に少しの湿り #短歌
覚えた曲がカレーの湯気とまじりあい君の声まで遠くなる午後 #短歌
ひとつずつ滲む輪郭をなぞれば街はどこからも帰れなくなる #短歌
染みてくる水のかたちを感じてるわたしに似たものはいつも遅い #短歌
采配は誰がふるうか指先に花びら墜ちてゆくときの静けさ #短歌
はんぶんこしたその境目にやわらかな匂いと君の笑い声 #短歌
眠りなおすあいまに揺れるカーテンの薄さが少し前を向かせる #短歌
泣きたいとかじゃなくてただ今日は雨の音だけで足りてしまった #短歌
蜘蛛の糸のぼる指先ふるえつつ声かけあえばさらに遠ざく #短歌
昨年の雨は肩まで濡らしていた 乾いた額を今年はひらく #短歌
陰干しの背をなぞりゆく風ひとつ祭りのあとを湿らせながら #短歌
まりもだよ ニセモノだって笑っちゃう 水面が揺れて仲間になれる #短歌
ひらかれてまた閉じられるくちびるを誰かが棚に戻していった #短歌
バス停で雨を見ていた さよならはそういうものとわたしが決めた #短歌
てんびんがきみで揺れてる夏の午後 分かってたのに雲が笑うよ #短歌
演説の声がはじまり雨もふる それぞれの傘ひらいてしまう #短歌
知ってる先生はひとりもいない 教室で消し忘れてた黒板を消す #短歌
その匙の深さまで君の声を注いでしまいそうな午後 #短歌
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