五感とか言うけど今日六感め 風を全部で受け止めている #短歌
きみがいたソファの座面をそっと触る 言葉より先に感じる温度 #短歌
自己肯定って不審物みたいでさ 今日も駅前に立っている彼 #短歌
消えそうな順に消えていったんだ 鼻で覚えていた横顔とか #短歌
まだ降らぬ雨の気配に気づくたび濡れにゆくため車を降りた #短歌
食べようかどうしようかと思いながら蕎麦の湯気だけ吸っている駅 #短歌
かがやきだけが届いてた午後 だれにも触れず咲いていた花 #短歌
カレーパンマンが濡れてしまうことだけが正しい午後の選択肢 #短歌
アイスから離れた魚の骨のこと口にのこったかたちが言うよ #短歌
1Kにわたしがふたり 片方はテレビにうつる声をもってる #短歌
心太 すとんと夏が通りぬけわたしの中にすき間ができる #短歌
空のにおいが変わるときには気づくのよカラスが鳴いてわたしも帰る #短歌
とおくだけやさしい そういう標識を見ていた午後にバスが来た #短歌
あたらしい緑のなかを吹く風は誰もいないを何度も撫でる #短歌
名前を呼ばれなかった午後にマルボロの箱だけがまっすぐだった #短歌
忘れたかもしれない廊下に陽がさしてぜんぶゆるされたことになってた #短歌
「動物だから」ってつぶやいた午後だった なんでもない日に歯が疼いてた #短歌
目を閉じてなぞった地図に浮かびたつ行ったことない過去の一帯 #短歌
甘すぎる水が流れる気がしてて川のそばには近づけなかった #短歌
本当に帰れる場所はあるのかな パル商店街を抜けて右折す #短歌
★
ログインしてコメントを確認・投稿する