湯気のなかでじぶんの名前を思い出す壁のむこうで朝ドラが笑う #短歌
あの日差しのなかでよく笑ってたひとときょうも商店街はまぶしい #短歌
布団ごと逃げたかったのは空でなく ちがう皮膚違う名のわたし #短歌
あざのかたちで呼ばれる名前ある ちいさな旗がここに埋まってる #短歌
白い貝ふれてきみじゃない誰かのことを思い出していた午後 #短歌
話せよと言われた気がしてスプーンを落とす音がまた家をしめつける #短歌
それが何かは知らぬまま抱いたのにあたたかくて空が裂けてた #短歌
残された2本の糸がからまってわたしの中でまた喉につかえる #短歌
くちびるをうつしてゆけばわたしたちあしたのぶんの甘さをもてる #短歌
とかされていくのがこわくて目をとじる 夏のとなりでまだ生きていた #短歌
起ききれずぬるいままいるたぶんまだねんどの途中って感じのからだ #短歌
あのときの「ごめん」も入ってるかも ひだりの足に十字が三つ #短歌
坂の途中で汗がこぼれてそのあともずっとあたしがねばついている #短歌
ころがっているのはたぶん夏だからまっすぐなことがこわいだけかも #短歌
そとからもわたしからも開けられずドアのかたちをしたままの夏 #短歌
洗えない ここまで沈んだ名のないもの わたしの夢は脳の形をしてた #短歌
帰る場所うしなったまま照らされる光は私を知りすぎている #短歌
階下とは風の音あり触れしとき沈黙までもわたしに還る #短歌
制服のポケットに鍵 山を切りひらいた土地に同じ家10軒
水のなかまだ眠ってる喉がありあなたが見ないまま朝になる #短歌
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