あなたから芽吹くかたちを受けとめてわたしは地表のうすい動脈 #短歌
知らない舌をおぼえてしまう夜 くちびるの奥が言葉を拒んでた #短歌
風のした 食べられたいって言うからだ 葉っぱにくるむ祈りのかたち #短歌
風のなか たしかに歪んだやさしさがだれかの手紙のように過ぎてく #短歌
うすぐもり 繁殖期だけ残されてなめくじのうえにたまってる夜 #短歌
むずかしくないまま終わる まぶたにちいさな音の残る眠りを #短歌
布団ごと連れていってと目をとじる 騒がしい羽音が胸にふるえて #短歌
失くしそう まだ失くしてはいないのに鍵の重さがわたしに似てる #短歌
線路までこぼれてしまう白い花 今日の死者には名前があった #短歌
すこしだけわたしをへらすみちくさに帰りみちってどこだったっけ #短歌
ひとつだけすくいあげたらぬれていた あまくてすっぱくてやさしかった空 #短歌
たとえばの話としてならできるかもくちうつしとかあしたの話 #短歌
こわいものうれしいものが溶けきらず朝のなかでもまだ泳いでる #短歌
テラスにはきれいな鳥としずかな日 ちゃんとまじめに生きているだけ #短歌
さいていたことも忘れてあめになる わたしの声にふれるゆうだち #短歌
「え」と言ったきみをすくってしまいたい デザートの午後 雨のふる部屋 #短歌
ただいまを言わずすませる夜ばかり 蛇口はぬるく夏のふりする #短歌
覚えてるだけが仕事の石だった やがて歩いてゆくそのために #短歌
やさしさはたいてい風のにおいしてすすむたびだけ青さがつのる #短歌
ぬれた芝 あしうらだけで朝になる 鳥はまたまだ小さく生きる #短歌
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