やさしさをなぞる会話の途中にも たぶん足りない 嘘がたりない #短歌
名前だけ読み取れるような白い墓荒らし 春の光はまっすぐ届く #短歌
泣くような日じゃなかったよ 例えばさ アスパラなんて炒めて浮かれて #短歌
あたしたちきっとここには似ていると笑っていたの 空っぽスワン #短歌
恋とかじゃぜんぜんなくて見とれてた 美人ガニ股 通勤快速 #短歌
だれにでも見せてない顔だったのに信金のうちわで向かい風つくる #短歌
となりでは誰かが声を上げている 花火上がって夏風邪のきみ #短歌
あとからの言い訳みたいに目が合ってすぐそらされた 猫と赤信号 #短歌
誰かには意味などないと言われてもどの余力でアイス消す夜 #短歌
なるべくの安さで今日をくるんだらそれなりに笑えた 紙ナプキンの月 #短歌
名を知らぬ老婆の歩幅を知っている 背中のかたち 長ねぎとともに #短歌
たぶんもう忘れていいと思った日 呼吸している犬のかたちで #短歌
丘にいる それだけで何も起きなくて犬が眠って風だけがある #短歌
その涙 まっすぐじゃないとこがいい 胸に残ったやさしい湾曲 #短歌
売りに出す夢のくせしてやわらかく文庫本より奥でうごめく #短歌
着陸のごとく知らない名前たち やわらかすぎる国にいるのだ #短歌
手のひらに抜いた草ごと夏があり 母の背中がひかり抱える #短歌
あの夏をひと粒のなか見てしまいすぐに割れたね 水の記憶で #短歌
すれ違うあたしではない帰り道 窓ごしに見る放課後の群れ #短歌
声ひとつ漏れぬ住宅地の角をゆっくり曲がる 影のような子 #短歌
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