朝、暑さで目が覚めた。睡眠薬の効果で5時間半くらい眠れたが、重ったるい空気感がいやな感じ。昨夜、寝る寸前まで栗原康の伊藤野枝伝『村に火をつけ,白痴になれ』を読んでいたせいかも。関西弁に”いちびり”という言い回しがあって、悪ふざけ、お調子者、顰蹙を買う性格という意。栗原の文体はこの3者を足してさらに二乗したような途方もない日本語ゆえ、読み手をいい意味で鼓舞し昂奮させる。さらに描かれているのが伊藤野枝だ。こんな本は寝る3時間以内に読まぬことだ(笑)。
午前8時、ダイソーで買った「サンポール」もどきのトイレ掃除用洗剤をどぼどぼ使って、便器を綺麗に磨いた。さらにトイレに敷き詰めている絨毯を庭に持ち出して洗った。今日も気温35度超えだというので、日暮れまでには乾くだろう。
朝食後、展覧会のパンフレットに寄せられた文章をリライトし、大幅な直しをした人にリライト原稿を送付。まもなく電話があってやりとりしているうち、あっと言う間に正午近くとなる。エアコンのない2階は屋根から伝わってくる熱気で暑い、人との電話交渉は必要以上に気を遣うために頭の中が暑い。自分がこんだけ今しんどいのは過去のおこないが悪かったから因果応報だ、という根拠レスなことを思ったりする。俺は独立不羈を尊ぶアナキスト気取りでいるのだが、栗原の自由闊達な文体に接するとネクラな仏教徒と形容したほうがいいかも。
午後3時、図書館へ。予約本が確保と案内が届いた。
安達茉莉子の『臆病者の自転車生活』。この本、どこで知り、なんで予約したのか、さっぱり思い出せない。
この本読みたい、と思った時、
1 Amazonで調べて「ほしい物リスト」に登録する
2 システム手帳にメモする(たいていは出所を併せて書く)
3 ブックオフオンラインのお知らせメール本に登録する
4 机の周りにあるゴミみたいな紙に殴り書きでメモる
5 口で3回復唱して頭の引き出しに仕舞う
というような行動をとるのだが、新聞記事なのか新聞広告なのかネット記事なのか雑誌の書評欄なのか、情報源はさまざまなので、時々忘れてしまう。今後はまず一本化するべきだな。そして、簡単に「朝日〇月〇日書籍広告」と添えるんだな。
図書館に着いて、文芸棚を見ていたら、松重豊の『空洞のなかみ』という本の背表紙が目に入った。松重って「孤独のグルメ」の松重?
手に取ってみたら、思ったとおり俳優の松重だった。マイミクOさんがいつも感心している松重。それなら本文を開いてみよう。
短編がいっぱい詰まってる。
富士山の樹林で死体役の仕事が入り、私は埋められた。が、撮影が終わったのかどうかわからないままずっと土は自分の身体に載っている。死体役は基本、動いてはいけない。が、とうとう我慢できずに土を押しのけて這い出したら、近くにたまたまいた女性が私を見て悲鳴を上げた……。
これ、松重さんの体験エッセイなのか小説なのか?
北関東でドラマのロケがある。通うのがつらい距離だ、と主人公は心の中でつぶやきながら、ロケ地「大林組」の工場に着いた。うーん? 大林監督はもう亡くなられているのでは、と不審に思うも、スタッフとおぼしき人がいていきなり「あなた、これを着て」と作業着を差し出される。で、大勢の工場労働者と一緒に働くのだが、なかなか「カット!」という声がない……。
これまたとぼけたエッセイ風の話で文句なく面白い。
本棚の前で結局60ページ近く、立ち読みをしてしまった。
才能豊、と改名してもいいかも(笑)。
そもそもこんなところで立ち読みしている場合ではない。やることが山積している。
どうせなら最後まで読みたかったが、本を棚に戻し、予約本を借りてうちに戻った。
帰宅後、早速『臆病者の自転車生活』を読み始めたら、これがめちゃ面白い。書き手は運動嫌いで、駅の階段すら使わずエスカレーターに乗り、苦手なことは先延ばしにし、気が弱くて仕事先の人にメールを送るのに毎回1時間くらいかかる、「いつだって怯えた犬を内側に抱えて生きている」と自己紹介する女性である。それがひょんなことから電動自転車の可能性に賭け、いざ購入してみたら……というワンテーマのエッセイ集。これも一気に100ページを読んでしまった。こんなことをしとる場合かよ。
今日もまったくダメな一日だった。幸いだったのは便所に敷き詰める絨毯が無事乾いてくれたことくらい。
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