頚椎症性神経根症という厄介な病いで24時間、痛みで苦しんでいる。日記を中断した翌日からだ。首から背中と右腕に猛烈な痛みがある。夜も眠れないほどで、睡眠薬を服んで寝ても3時間程度で痛みから目が覚める。起きている間も、尿管結石時と同じくらいの痛みを抱え、唸り声が出てしまったり、大きく息を吐いて倒れそうになったりで、ぎりぎりの日常生活を強いられている。
整形外科医から処方されているのはリリカという最も効能が強い鎮痛剤と、ロキソニンテープだけ。一昨年がんで亡くなった友人は、在宅の看取り療養時にリリカと医療用麻薬3種類で痛みと闘っていた。リリカは一日の許容量を150ミリと定められていて、処方されている錠剤は75ミリのものだから、一日2回服用することとなる。これが効いてくれたらまだしも救われるのだが、感じる痛みを100としたら服用後はせいぜい60くらいになる程度だ。2日に1回の割で整形外科に通い、神経性の痛みを軽減する点滴を受けてはいるのだが、効き目はあまりなさそうだ。がんが全身に転移してのたうちまわっていた友人の面影を想い出しながら、私はこの痛みにただただうなだれている。その痛みが退くのは100日くらいじゃないか、と医者に告げられ、気が狂いそうな心境に陥っているのだが、末期がんで九分九厘亡くなるのであれば狂ってもいいけどまだ狂うわけにはいかない。
うんうんと唸りながら、少し鎮痛した時は講演録の原稿整理をしたり、痛みが少し軽減するかっこうで本を読んだり、YouTubeで頚椎症性神経根症を解説する医師や整体師の動画を見たり、radikoでラジオを聴いたり、身体というか首と顔を不自然なほど下向きにして散歩したり、クルマのシートをかなり倒して視界を確保してスーパーまで運転してエコバッグ一杯に野菜と肉とフランスパンを買ったり、という生活で、よーく考えてみたら普段通りの暮らしだった(笑)。パソコンに向かう時間が7割減になったので、2日に1冊のペースで本を読み終えている。斜め読みも読了本に含めると、年間200冊になりそう。いや、この痛みがもし今年いっぱい続くのなら途中で生きるのがイヤになるわ。
ある首の角度を保つとiPhoneでニュースやLINEも読むことがなんとか出来る。
昨日だったか、タレントの小倉優子が400日の受験勉強を重ねて大学5校の入試を受け、1校合格、1校補欠合格という記事を読んだ。
彼女が受験勉強を始めたことさえ知らなかったので、記事を読みながら三浦しをんのデビュー作だか第2作の『格闘する者に〇』というタイトルを思い浮かべた。この場合の格闘はstruggle(ストラッグル)で、社会学でstruggleと言えば、(青春期特有の)もがきとか苦闘といった意と、人間社会に普遍の闘争という意で使用されることが多い。卒論でストラッグルという用語を何度も使ったこともあって、無条件に「ストラッグルする者は〇」だと私は信じている。私たちの行動の是非というのは、結果よりもプロセスにあって、もがき苦しみながらも頑張るということは尊い。20世紀、このような私の受け取り方はごく一般的だった。
しかし、ネット時代の到来以降、真逆になってしまった。小倉さんのニュースに付いたコメントを読んでみたら、一様にぼろくそで、ディする人が9割だった。合格した女子大学についても誹謗中傷されていて、小倉さんのみならず大学に於いても名誉毀損に該当する。
記事には<411日間・2102時間を勉強に充て……>とある。私の高校3年間の受験勉強時間は、授業の予復習を除くと2千から3千時間くらいだったと思う。
授業が終わると「わからなかった、ということを翌日に持ち越さない」主義なので復習をし、数学や物理で解けなかった問題は教師に聞きに行った。そのあとに受験勉強を始めようとするのだが、一日3時間弱でギブアップしてたな。高校1年時は遊び呆けていたので、受験勉強は実質1年と10カ月くらいだった。小倉優子とイコールだ。
ネット民ってホント偉そうだ。私は還暦あたりまでチョー偉そうな人間だったが、それを遙かに上回る上から目線で、しかも暴力性を伴っているんじゃないかと思われるほどに攻撃的。
他人に対して凶暴な意見を吐くことが普通になった時代。平気でひとをバカにする人も淋しければ、バカにされた人も寂しいと思う。
ビリー・ジョエルの名曲に「Honesty」というのがあったなあ。
Honesty is such a lonely word
Everyone is so untrue
バカ正直に生きるのって哀しいかもしれない
誰も彼も不誠実なのだから
自分の裡に向かうような声と表情で、ビリー・ジョエルはこのメインフレーズを歌っていた。
俺はネット民のような荒れた心を持たないよう、ヒューマニズムを徹底したい。
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