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2022年09月11日23:40

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高崎までワンデー・トリップ

 JRで鎌倉から高崎まで、新幹線を使わないと3時間ちょっと、新幹線利用だと2時間。国策としての新幹線に反対の立場なので、普通料金で乗ることができる快速で行く。隣町の大船駅で湘南新宿ラインに乗り替えたら高崎まで直通がある。
 リュックにデジカメ、文庫2冊、珈琲を入れたマイボトル、タオル(気が向けば日帰り温泉に行く?)とiPhoneを入れて、午前10時出発。高崎駅には13時過ぎに着いた。『山人として生きる』(志田忠儀著)をちょうど半分読んだ。あとは車窓からの景色をぼんやり見ていた。
 ライブ会場は駅から歩いて20分程度。昼ごはんを食べないと身体に差し支えるので、「松屋」があったからミニ牛丼を掻き込んだ。やっぱ不味い。駅にあった立ち食い蕎麦のほうがよかったな。
 ライブ会場には開演15分前の13時45分に着く。大学の先輩ミュージシャンは一瞬、驚いた表情になったが、「わざわざ来てくれてありがとう」と言われる。ライブハウスのオーナーからコロナ感染防止のために用紙を渡され、名前と住所と連絡先の記入を求められる。鎌倉の文字を見て、先輩と同じく驚嘆しつつ「今月末でこの店を閉じるので、遠方から来ていただけて嬉しい」などと礼を言われる。
 私以外は高崎高校と高崎女子高のOBで、同窓会の呈だった(苦笑)。私が座った席の隣にいらしたのは東大の元・名物教授で、かつて高崎の別のライブハウスでも長々とお話しをさせていただいたかただった。
 ライブは1部が1時間、2部が1時間で、午後4時に終了。この2年半、コロナの影響でライブを開いていなかったこともあって、感慨ひとしお。ミュージシャンであり、詩人である。どちらの才もない私は、いつだって真っ白な気持ちで先輩の歌を受け容れる。まるで小学生が授業を真剣に学ぶように。
 ライブが終わったあと、私に話し掛けてくれた女性に妙な質問をした。
 自分は旅先でスーパーに行くのが趣味。帰りに高崎駅前の「イオン」に寄る予定だが、ごく一般的な庶民が好んで買う地元産の美味しいものを紹介して、と。
 当然、最初は駅前に高崎の物産展があってそこには何でも揃っている、と答えられたのだが、「趣旨が違います。お土産にふさわしい名産物ではなく、群馬県人が好んで買う地元産のごくフツーの食品や食材を知りたいのです」と付け加えて、ようやく質問の意図を理解してもらえた。
「イオンなら、たまむら豆腐と相模屋の豆腐かな。たまむらは高いです、相模屋はフツーです。それといろんな地元産コンニャクが置いているから、選ぶのが楽しいかも。お味噌なら十石味噌で、生麺にはおきりこみも売っているよ……」
 手帳を広げてメモり、お礼を言って店を出た。入口脇に大きな灰皿が置いているので一服していると、1、2分して一人の男性が声を掛けてきた。
「高崎の庶民が好む地元の美味しいものだって? あなたはこれから歩いて駅に行くんだろうから、ぼくが2軒、いい店に案内してあげよう」
 1軒目は「麹屋」という名の麹屋さんだったが、日曜は定休日だった。
 2軒目は「宮石青果」という野菜のセレクトショップで、そこで作られているオリジナルのしょうが漬けはぜひ一度、試食するがいいと。幸い、宮石青果は開いていたので、しょうが漬けと大根漬けを買った。彼もしょうが漬けを買った。
 彼は高校の国語教員を長らく務めたかたで、話し方がソフィストケートされている。高崎の歴史、今歩いている地域の成り立ちなど、街歩きのガイドもしていただけて、妙なところで「高崎高校っていい学校だな」などと感心した。
 彼とは宮石青果前で別れ、ひとり駅前のイオンスタイルに向かう。
 イオンで買ったのは相模屋の豆腐各種で、女性一押しの「ウニのような豆腐」もレジカゴに入れた。たまむら豆腐は高くて買わず、十石味噌は売っていなかった。
 快速列車ゆえ、車内で弁当を食うわけにもいかない(グリーンなら落ち着いて食べられようが)。イオンにはイートインスペースがあることを偶然目にしたので、お惣菜コーナーでいちばん油っぽくないお弁当を買って食べることにした。しらすと枝豆の炊き込みごはん、野菜の煮付け、卵焼き、小さな焼き魚、シュウマイ1個の理想的なお弁当。
 1時間に1本の湘南新宿ラインは出発時刻をメモっている。それに合わせてのんびり食べ、駅の喫煙所で一服後、改札口に入った。
 はあ、堅いシートに3時間座り続けはきつい。
 やっぱ帰りは意地をはらずに新幹線を使えばよかったかな。しかし、『山人』は読了、もう一冊の『最後の瞬間のすごく大きな変化』(グレイス・ベイリー著、村上春樹訳)は50ページくらい読めた。
 新幹線自体が悪いわけではない。新幹線と平行するローカル線潰しで間引き運転したり、都会に較べてべらぼうな高額料金にしたり、採算割れ路線は廃線にしたりして、地方の生活と経済を破壊する国家の横暴が腹立たしいのだ。新幹線至上主義者は亡国の徒であり、非国民であるぞ。
 高崎駅18時14分発、鎌倉駅に着いたのは午後9時半だった。途中、踏切内に人ガ立ち行ったとかで、5分くらい立ち往生していたから。
 もう口を開く元気さえない、と言いつつ、シャワーを浴びてすぐ、この日記を書いているのだが(笑)。
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