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2022年07月25日20:46

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山上憶良を想う

 朝の8時過ぎ、隣家(のババア)の声がうるさい。掃き出し窓を全開にして会話の内容を聞くと、どうやら植木屋さんが来ているらしく、庭の手入れをしてもらうようだった。うちの庭も荒れ放題なので、ちょっとしたプレッシャーを受ける。
 朝食後、メールチェックをしたり、全集の組版をいじっているうち、正午になった。門を出て隣家を見てみたら、植木職人さんが昼休みをとりに行くところだったので、「そこにある脚立を30分ほど貸してくれないか」と頼んだ。隣家の門はわが家の生け垣と続いていて、柘植が伸び放題になっているため、少しは刈り込まないと申し訳ないのだ。そんな事情を彼に話すと、「もちろん、かまいませんよ。ただ、30分経ったら私が使います」と応えてくれた。
 うちにも脚立はあるのだが、植木職人が使っている脚立は高さがある上、しっかりしている。
 柘植の剪定を始めてみたのだが、10分くらいでふらふらになった。ピーカンで、今年いちばんの暑さじゃないか、というくらいの直射日光が射している。
 20分が過ぎた頃、脚立から下りようとして、落ちてしまった。もっとも既に高さ1メートルくらいの高さだったから、怪我はなかった。
 全身汗まみれ。
 ソッコーでシャワーを浴び、服も着替えた。
 昼は半田手延べそうめん。
 食べ終わったら暑くて汗が出てきたので、またまた水シャワーを浴びる。クーラーを使わない生活はきつい。
 今度は新品に近いポロを着た。午後3時予約の眼科医があるからだ。眼の検査や医師の診察時は結構、人との距離が近いということもあって、毎回、まるでデート用のファッションになってしまう。
 検査の結果、異常はなくて安堵。帰り道、地元産の魚と野菜が主体のスーパー(みたいな食料品店)に寄ったら、マグロのリブが売っていた。当たり前だが三浦のマグロで、東京から情報に踊らされるように三浦港へやって来る観光客向けとは違って安い。今夜は値段的にしょぼい骨付きマグロのステーキ。 
 
 昨日、図書館の雑誌コーナーで、週刊文春の特集1本だけを読んだ。狙撃事件を起こした山上徹也の「山上家」を結構丁寧な取材で構成されていた。さすが文春砲。
 父が京大卒(のちに自殺)、統一教会に搾取され続けている母親や奈良高校→大阪市大で、山上徹也も郡山高校という進学校。出来の悪い息子・娘を持っている世のお母さん方からすれば、エリート学歴一家だ。山上君は母親のカルト宗教妄信と経済破綻による自身の高卒という学歴のため、ずいぶんときつい20数年間を過ごしてきたことだろう。
 一昨日から山上徹也の精神鑑定というニュースがある。彼のような境遇の場合、精神鑑定という言葉はどことなく不適当な気がしてならない。心理検査とかカウンセリングではないか? 前日からの目的的な行動から、「心神耗弱」状態でもないのだから。
 この事件、第一報の新聞を読んだとき、山上という苗字を「やまのうえ」と読めた。万葉集で最も有名な山上憶良はやまのうえ・おくらだから。そして、容疑者の出身地も事件も奈良県だったから。
 憶良の貧窮問答歌は高校の教科書に絶対と言っていいほど掲載されている(しかしアベの学んだ高校の教科書には載ってないかも)。万葉歌のなかでは意味がとりやすいし、現代の貧困とか疎外といった問題を具体的に叙述している「長文の詩」だからだ。
 たまらなく寒い夜に湯をすすっていると咳が出て、「俺は偉い」と言い聞かせるもののまともな布団もない暮らしをしている。俺より貧乏な家でも想像して、女や子どもが泣いている姿を思い浮かべよう。ああ、それにしてもやるせないな。
 万葉集は4500首の歌が収められているそうだが、貧窮問答歌みたいな長歌は唯一無二だ。憶良は遣唐使に選ばれし若きエリートだったが、その後は思うようにいかない人生だった。山上徹也と同じと言えば同じ。一方は古典の教科書に載り、もう一方は日本史の教科書に載るという違いがあるけど。
 話を精神鑑定に戻す。平気で嘘をつくような政治家や宗教家こそ、精神鑑定をしたほうがいい。自分が山上徹也になる可能性はあると思うけれど、たとえば麻生太郎とか統一教会の日本支部長のような平気で嘘をつく人間になる可能性は……ないな。
 
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