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2022年07月18日20:12

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横浜で講演を聴講する

 本日は講演会で横浜へ。聴講のためというより、主催グループの一人で、会場での動画撮影とマイク係なので、這ってでも行かなければいけない。
 テーマは「731部隊と100部隊〜人獣共通感染症への戦争動員」、よく知られた細菌戦部隊731と違って、軍馬や軍牛に重点を置いた細菌研究部隊である。100部隊とは何だったか? という歴史から消された軍事機関の掘り起こしである。講師は元日本獣医生命科学大教授の小河孝さん。長野県からこの講演会のためにわざわざ横浜まで来ていただいた。
 彼はもともと疫学の技官で(農水省の試験場で35年勤めた)、非政治的な立場だった。講演冒頭で、2010年にハルピンへ旅行した時に偶然、100部隊を知ったと語られた。731部隊と同様、100部隊は陸軍によって満洲に設置され、人獣共通の感染をもたらす炭疽菌や鼻疽菌の研究をしていた。731と違ってほとんど丗に知られていない。私もこの主催グループで活動を始めた4年前に初めて知った。
 生物(細菌)兵器は化学兵器と同様、1925年に禁止されているので(ジュネーブ議定書)、旧日本軍はその禁を破っているわけだが、なぜか731部隊も含め、我々国民から見事に存在が抜け落ちている。小河さんは存在を知って以降、100部隊について研究されてきたわけだが、鼻疽菌の研究者がバイオハザード(実験室内感染)で2名亡くなったとか、戦後2年経ってGHQが研究に従事した人にヒヤリングをして研究内容の一部がわかったことくらいで、実態についてはまったく闇の包まれたままだ、と苦しい言い訳をしていらっしゃった。
 731部隊も100部隊も、敗戦記念日より3日も早い段階で研究所から離れ、その際、所内の書類という書類はすべて焼却していたことがわかっている。「アジアを解放する八紘一宇の闘い」という崇高な戦争目的を掲げているのに、どうしたことか? 書類を焼き、建物を爆破して、現地から逃げるとは。まだ兵士も一般国民も悲惨な戦禍にいるのに、帝国上級軍人はなぜ一足早く撤退するのか? 
 ツッコミどころは山ほどあるのに、これら両部隊の軍属研究者たちは戦後まもなく、大学の教員や官庁の要職に就き、いずれも帝大出ゆえに出世した。日本国民というのはホント人にも犯罪にも甘い。プーチン支持者が大半とされるロシアを嗤う資格はない。というか、戦争犯罪に対して全く総括をしない上、著しく倫理感が欠けている鬼畜であるという点で同類である。
 小河さんは「科学者の戦争協力と加担」について数分、話される場面があった。フィリッツ・ハーバーという科学者が第一次世界大戦で毒ガスを使うことを積極的に提案した、と。ちなみの彼は1918年に「空中窒素固定法」でノーベル化学賞を受賞し、さらなる毒ガス利用を謳うことに奥様は反対して自殺した、というエピソードを持つ。
 この話を聞いていて、大学の一般教養を思い出した。46年前、私は「科学史」なる科目をなぜか取ってしまい、講義の中ではアインシュタインの平和論が出て来た。えーと、年間全部で講義に出席したのは5〜6回くらいのはずで、単位を取ったのか落としたのか、忘れたのだが、科学史というのは研究者の社会的意義を見て行くという側面があることだけは授業を通してわかった。
 この視点で述べれば、天皇率いる陸海軍に従事した科学者というのは、クズのクズということになる。湯川秀樹のような軍隊非従事の天才科学者を除いて、ほぼ誰一人自己批判と戦争批判をした者はいなかった。神をも畏れぬ行為で、私のような正真正銘のクズでさえ、このような厚顔無恥を続けていくことは出来かねる。
 まあ、講演を聴きながらそんなことを思い出し、一方でビデオカメラの録画アイコンが点灯していることをずっと注視し、本講演が終わったら終わったで、質疑応答の質問者に向いて走ってマイクを渡し、というようなことをやってて、へとへとに疲れた。
 喉元過ぎれば熱さを忘れる。かなり本来の意味から外れるけれど、私はこと人間の尊厳を踏みにじる「犯罪」について、それは過去のこと、などと捨ておくことは、神の摂理に反する大罪だと激しく思っている。
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