mixiユーザー(id:6486105)

2021年04月08日12:52

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FIREか、FIREね。

 昨日7日水曜日。mixiのニュースで、タレントのスザンヌさんが芸能活動で中退した高校に再入学、という記事を読み、よせばいいのに寄せられたコメントをだらだら見ていると、露骨な中傷や揶揄が目立った。試しにヤフーニュースの記事を読んでみたらさらに内容がひどくて、歪んだルッキズム丸出しのコメントが多数ある。精神を病んでいる人間がいかに多いことか。
 自分が20歳30歳の頃と現在で最も大きな違いというのは、政治の右傾化とそれに比例した国民の右傾化である。前者についての危機感が強い人は私の周囲も含めて多数いるのだが、当たり障りを避けようとする小賢しさゆえか、露骨に安倍やスガ政権を批判することが多いくせに、日本人総体を真正面から露骨に糾弾する人は存外少ない。個人的には、政治というのは選挙でひっくり返すことが出来る体制ゆえ、雌伏しつつも時が来れば反撃可能だと思っているのだが、国民意識のほうはそう簡単に変わるものではないと考えている。新興宗教にどっぷり嵌まっている人間がある日を境に視点をあらためる、ということより難しい。一度自分の中に取り込んでしまった「唯我論」は生涯、固着するからだ。
 広義の意味での教養レベルが低い人間は、潜在的にその弱さを自覚しているので、他者を貶めることで心の平安を持とうとする。劣等感の裏返しほど人間存在自体を歪めるものはない。人間は誰しも優位性を高めたいという思いを常に抱き続けているため、社会的能力の乏しい人間は常に自分より弱いもの、劣るもの、あるいは社会の「バグ」を見つけることが自己救済となる。
 お馬鹿タレントを嗤う。不倫とか大麻とかをやっちゃった有名人を糾弾する。政治意識が高い系の人を茶化す。で、面倒なひとを一切合財「痛い人」とカテゴライズし、自分のことは棚に置いて、自分がいかに正統なジョーシキ人であるかという「優位性」をネットや周りに人にアピールするのである。こういう日本人の一枚岩意識は、風邪と同じくらいに誰でも共有していて、通常コースからちょっとずれた人を見つけると顔をしかめるし、国家レベルで見ると「出る杭は打たれる」式で個人の創造性や批判精神を抑え込もうとする政策に繋がる。結果、我々は横(ひと)を見て、上(政府方針)を見て、つつがなきように生きるのが無難だ、と小賢しく生きるベクトルが定着する。
 繰り返しになるが、政治の右傾化以上に深刻なのは、国民意識の右傾化である。後者の右傾化とは、個(性)より常識(社会通念)優先の、マルクスやカントが提唱したところの「人間の尊厳」を軽視すること。19世紀から20世紀は重視する曲線だったのが、今世紀に入ると軽視する曲線に変わった。
 これから社会に出る若者はもとより、現在働いている人にとってもこの先、きつい時代になっていくぞ(←他人事だからどうでもいいと言えばいいけど)。

 昨日、銀行に行った。ほんの一部だが銀行に言われるまま投資信託をしていて、その報告などを受けるために。
 夜23時、dマガジンで雑誌の拾い読みをしていたら、「週刊SPA!」で日本版FIREの特集が組まれていた。FIREとはFinancial Independence(経済的自立), Retire Early(早期退職)の頭文字をとった造語で、早々に労働や社会から離れて気ままに生きるというムーブメントで、先週にもどこかの雑誌で同じような記事が出ていた。
 私は能力の衰えを自覚し始めた20年前から、ドロップアウトしたい負の自己肯定があって、悪く言えば落ちこぼれていいのではないか、という思いがあった。これは高校の終わりから浪人時代、高橋和巳の長編に耽溺したという「基礎疾患」に拠るのかもしれない。
 そういうイヤな予感というのは当たるもので(苦笑)、本当に転落してしまった。
 幸い「絶対やってはいけない」とされる投資信託は、雑誌の記事のようなマイナスにはなっておらず、運にも多少恵まれた。
 深夜、ラズリにトイレさせるため、外に出した。少しずつ衰えが見え始め、歩き方がぎこちない。そうだ、一昨日はブラッシングをしていると、気持ちがよかったせいか、ラズリがお漏らしをしてしまった。始末のため、水雑巾で拭き取り、おためごかしにアルコールスプレーをさっと掛け、そのあと軽く床ワックスをした。こういう世話は飼い主にとって献身の愉しさがある。同時に、ラズリと共に自分の老いも感じて心底、犬に共感するのだ。お互い、頑張ろうなみたいな。
 先代の犬に対して、私はよく怒った。叩いたこともあった。
 その申し訳なさを、ラズリに返している。
 やがてホイッスルは鳴る。その日まで、ずっとずっと可愛がってやろう。
 
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