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2020年07月14日20:19

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私はなぜ畸人に惹かれるのだろう

 甲府に滞在中、鎌倉図書館から予約本入荷のメールが届いたので、本日午前、図書館へ。『夫・車谷長吉』、著者は当然のことながら夫人の高橋順子。外出自粛要請期間に車谷長吉の『業柱抱き』と『人生の救い 車谷長吉の人生相談』を再読し、あらためて車谷長吉にえもいわれぬ興味が湧いてしまった。畸人であることは確かであるが、それがどれくらい演出でどれくらい本質なのかは、わからない。同じく変人・中島らもも私には近くて遠いかたであって、先々月、夫人中島美代子が書かれた回想録『らも』を読んで、ホンマモンの変人であったことを知る。
 図書館は相変わらず半開館状態で、雑誌コーナーなどがクローズド。その代わりと言ってはなんだが、勝手に無料で持ち帰ってくれという「リサイクル本」棚に雑誌や軽い読み物が並べられていた。休館中からずっと書籍の整理をしているようだ。
「再発見 井伏鱒二」と書かれた背表紙を見て「すばる」2018年3月号を手に取る。2週間ほど前に井伏の短編を10本ほど読んだばかりなので、興味を惹かれた。目次を目で追っていると、エミール・ゾラに触れた「ゾラの業績と精神を讚えて」という長いエッセイが収録されていた。学生時代、ゾラに凝ったこともあるので、この「すばる」誌は無条件にいただくことと也。
 簡単なお昼ご飯のあと、コメを買いに隣町の大型スーパーへ。玄米生活を1カ月半続けたあと、常食は胚芽米となった。ところが胚芽米を扱うスーパーはあまりない。なので、やむなく隣町まで行くのだが、大型スーパーはある意味都市生活者のレジャーランド的存在で、普段あまり買わないようなモノが目に入ってくるのが面白い。
 帰り道、ブックオフに立ち寄って、新書2冊を購入。ブリの西京漬けを買ってしまったゆえ、長々と本を見て回ることはかなわず。
 帰宅後、本来なら文学館で撮影してきた詩人の原稿を精読すべきなのだが、つい『夫・車谷長吉』を開いてしまった。
 ……これがめちゃ面白い。そもそも高橋順子は出版社で編集者をしながら詩の創作にいそしみ、さっさと辞めてから数々の詩集をものして文学賞を総ナメしている才人だ。彼女自身が畸人の閾にいる。畸人と畸人が結婚し、畸人の夫が亡くなり、畸人の妻が精魂込めて書いた「伝記」である。いや、伝奇と呼ぶほうが正しいかもしれないのだが、面白くないわけがないのである。
 会社を辞めた際、私はとっとと捨てられない写真や原稿や企画書などを段ボール箱2つ分くらい、自宅に送った。そのなかに車谷長吉のモノクロ写真(紙焼き)がある。家でその写真を見たとき、車谷さんに送ってあげようと思った。が、大手の版元を中途退社してしまった人間の常で、高名な作家に対しては敷居が高くなってしまい、そうこうしているうちに車谷さんが亡くなってしまったのだった。で、写真はまだうちにある。
 車谷さんの取材に同行したカメラマンMさんは私より20歳ほど年齢が上のかたで、ひょっとしたらもうお亡くなりになっている可能性だってある。やはり一刻も早く、車谷さんの表情をうまく掬い取っているこの近影を高橋順子さんに送ってあげるのがいいのかな。
 まだ半分までしか読めていないのだが、読み終わったらあらためて考えてみる。しかし、それなりの手紙を書くとなると面倒な作業だなぁ。
 
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