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2020年03月12日20:46

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虹の彼方に

 昨日と同様、今日も暖かだった。一口で食べられるミニクロワッサンと、あと1週間で切れかかりそうなお米を買うため、原付バイクで逗子のOKストアへ。原付の制限時速は30キロだが、周りに車や自転車がないとついアクセルを回し過ぎてしまう。スピードオーバーだろう、とメーターを見てみたら、〇〇キロを超えていた。
 買いたい本が1冊見つかった、という時点でゲーム・オーバーという条件で、OKストアの1キロ手前にあるブックオフへ。わずか5分で藤原新也のエッセイ集『名前のない花』を買って店を出て、OKストアに向かった。米とミニクロワッサンと生エビと芋けんぴとケチャップなどなどを買って、ここでも早々に買い物を済ませた。今日はバイクでひとっ走り、というのが主目的である。今日みたいな日は、本とミニチェアを持ってチェアリングしたいのだが、家でしか出来ないことがあるので、レジャーはこれだけに留めた。
 午後4時、「ビッグイシュー」で、レネー・ゼルヴィガーのインタビュー記事を読んだ。ジュディ・ガーランドの伝記映画「ジュディ 虹の彼方に」でアメリカアカデミー賞主演女優賞。映画に疎いので、レネー・ゼルヴィガーは初めて目にした名前だし、2019年のアカデミー賞受賞も当然知らなかった。
 そもそも歌うのが苦手だったと言う。一から発声や歌唱法を学び、毎日ジュディの歌を聴き、筋肉トレーニングをしたと答えているが、文脈と行間から推測するに1年がかりの訓練だったようだ。日本の役者でも半年1年と役作りのためにさまざまな取り組みをするかたがいらっしゃるが、そういう蔭の努力を長期間にわたって続ける人、というのは無条件に尊敬する。そういう話を聞くたび、少しは真似たらどうだ、と自身に問いかけてその気にもなるのだが、3日経ったら忘れてしまう。
 ビックイシューをざっと読んだあと、YouTubeでレネー・ゼルヴィガーの「オーバー・ザ・レインボー」を探して聴き、原曲たるジュディ・ガーランドの同曲も併せて聴いてみた。ジュディ・ガーランドは晩年、失意と貧困の日々で、最期は睡眠薬の飲み過ぎで亡くなった、とのこと。こういう末路を辿る歌手や俳優は案外と多い。一般人に較べてそれだけ成功が大きいということか。少しセンチメンタルになってしまった。
 午後5時半になってもまだ外は明るい。夕ご飯の6時まで、お堂と境内を竹ぼうきで掃き掃除することにした。たまにやると、精神衛生上いい。無心になれる。
 箒とちり取りだけで落葉や枯れ枝を取り切れることはない。結局最後は這いつくばって手で一つひとつ拾うことになる。うつむいて朽ちた葉っぱを手で拾い集めていると、背中から声を掛けられた。愛知県から来た観光客で、この寺のことをよくご存知でいらっしゃる。私を寺男だと誤解されたようなので、寺の名誉のためにただの近所に住む者だと名乗って、「こうして掃除をしながら、新型ウイルスに感染しませんようにと願掛けをしているんです」と冗談を言っておいた。これで彼は、2020年春の鎌倉旅でへんな奴を見た、ということが年月と共に印象に残るだろう。
 6時になったら境内は暗くなった。山に落葉を捨てに行っておしまい。
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