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2018年10月30日21:05

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銀杏と自由シリア軍

 昨日の朝、銀杏を拾った。
 9月に2度、台風に見舞われ、イチョウの葉も銀杏も九分九厘落ちて、まだ秋も来ていないのに裸木状態なのが哀しかった。以来、銀杏はまったく落ちて来なかった。
 それだけに大した量ではないとは言え、銀杏が降ってきてくれたことが嬉しい。
 毎年、銀杏を会社の先輩宅にお送りしている。おふたりとも銀杏が好きで、さらに毎年送るのが15年来の習慣となっているので、内心、八百屋で買ってでも送ろうか、という気になっていたのだった。
 大きな洗面器の半分量くらいを拾って、実を剝く。単純作業だ。そして、洗面器で5回も6回も水洗いしてから、広げた新聞紙に並べて干す。
 今日の午前11時、乾燥し切ったところで、ひとつひとつ選別して(殼にヒビが入ったものや黄ばんでいるものを取り除く)、しっかりとしたビニール袋に詰めた。
 私製はがきを付ける。
 かなり緊張する。というのも、先輩の奥様はご主人を「頭が良すぎるひと」と心底尊敬していて、そのご主人が私をして「俺と同じくらいに頭がいい」と評したことがあったらしいので、私はそういう役回りを演じなければかっこうがつかない。梱包ひとつとっても、ハードディスクの空箱に銀杏を詰めてだらしなく送る、というようなことが出来そうにないし、はがきにしてもきれいな字で気の利いた近況報告でも書かないと、収まらないのである。いい加減、こんな役割演技なんかやめて、奥様の誤解を解くのがいいのだが、今年は今年で銀杏拾いを諦めていたところで今回の僥倖があったわけなので、やっぱり気負って美文を目指してしまったのだった。
 正午過ぎに郵便局へ行って、定形外郵便で送付。明日には着くだろう。
 リア充を感じた。礼を言うべきは私のほうか。

 話は昨夜に戻る。あるひとのツイッターで、安田純平さんのシリア取材を中心に組まれた報道特集「シリア 戦場と化した街」(2012年)が動画サイトに上がっていることを知った。 30分近い動画だったが、安田さんに同情しているという理由だけで見てみた。
http://www.veoh.com/m/watch.php?v=v36031278zYa4MyM6
 反政府武装組織「自由シリア軍」に許可を得て入り、シリア政府軍と自由シリア軍の戦闘最前線で、安田はひたすらカメラを回していた。銃弾や砲弾の音が飛び交っている。しかし、安田の持つカメラはぶれることがない。
 全国の鉄道網では終電後、安全点検をする保安員が働いている。山梨の果樹園で桃とブドウを作っている農家がいる。駅中にあるショップで雑貨を売る店員さんもいれば、安田のように私たちが想像もつかない使命感でもって動き回るジャーナリストもいる、ってことだけだ。誰が偉いわけでもなければ、偉くないわけでもない。鉄道保安員は安田さんなんかよりよっぽど偉い、というネトウヨが多くいるだろうが、それなら50歳にもなって給与が年収500万円なんて報われない現実社会に対してみずから革命を起こすべきだろう。
 ちょっと頭が足りなさそうな安田さんをもっと温かく見守ってもバチは当たらないって私は思う。
 今日はご高齢のご近所さんが困っていたので、倒れた庭木のあじさいを起こして植え替えをしたり、午後2時を過ぎてサイクリングしたくなったので、逗子のブックオフへ行ってみた。
 買ったのは、このミス2012年版第1位の『二流小説家』(ディヴィッド・ゴードン著)と、かつては出るたびに新刊で買って読んでいた白石一文の『愛なんて嘘』。前者は3年くらい前に一度図書館から借りたのだが、5分の1くらいで挫折したので、再チャレンジしたくなったのだった。結構な分量の長編だ。
 途中、コンビニがあるので一服した。町田ナンバーのバイクを脇に置いてタバコを吸っている30歳くらいの男がいて、「平日火曜日の午後4時半にバイクで逗子まで来たこいつはどんな仕事をしてるのだろう?」などと想像し始めたら、だんだんと妄想が膨らんできて、知り合いの堀内貴和がかつてよく書いていたバイク小説のパクリみたいなストーリーが出来てしまった。彼が筆を折ってしまったのが、残念でたまらない。
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