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2018年10月28日20:39

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ある夜のセックスのこと

 昨夜の23時から映画サイトGyaOの動画配信で「ある夜のセックスのこと モントリオール、27時」を見た。オープニングからいきなりセックスシーンが10分にわたって続く。
https://gyao.yahoo.co.jp/player/01081/v00050/v0000000000000000069/
 かれこれ3年くらい前になるのだろうか。「ある夜のセックスのこと」は朝日新聞の映画評で取り上げられていた。内容は8割方忘れてしまったが、行きずりの男女が一夜の関係を結ぶだけの映画ではない、というような紹介内容だった。ではどういう映画なのだろう?
 セックス後、男が寝入ったのを見て、女は服を着替えて男の安アパートから出て行こうとする。玄関のドアを開け、エレベーターのないアパートから女は階段を降りていく。男はドアが閉まった音で目を覚まし、女の名を呼んで引き戻そうとする。女は部屋にふたたび入る。
 このあと、男は初めて自分について語り始める。問わず語りのように、延々5分も10分も自分がいかに世の中から落ちこぼれているかと言うことについて喋る。女はうんざりしながら男の独白を聞いている。
 男の自棄的な告白のあと、ひとつの小さなドラマが展開されるのだが、今度は女が小学校教師という身分を明かした上で、自分が夜毎男を求め、ドラッグに手を出し、生きている意味がわからないので死にたいというような絶望を語り出す。
 芝居に一人劇という形態があるが、この映画、大袈裟なほどの二人舞台である。
 二人の会話はフランス語だった。長いモノローグを聞いていると、上等な叙実詩の朗読のごとしで、途中から、MacbookProの音じゃもったいなくなって、コンポのスピーカーに接続して、豊潤なステレオサウンドに切り替えた。
 男も女も共通して自分を持て余し、現代社会に倦んでいた。
 男女とも30歳を少し超えているので、青春と呼ぶにはふさわしくないかもしれないが、ひりひりとした青春映画だった。観ているのが苦しくなるくらい、出来損ないの男がいて女がいた。
 見終わってネット評を探してみたら、誰一人として褒めているひとはいなかった。しかし私はこの映画に★★★★+半分の★を与えたい。ネットでは映画でも小説でも上から目線でディする評が目立つが、私の場合「ああ、損した!」という映画や小説は10本のうちせいぜい2本くらいだ。批評眼が他人より何倍も強い編集者気質の私が、だ。ネット民というのはさぞ偉かろう。

 今日日曜日、起きたときにはどよんとした曇り空だったが、午前9時半くらいから晴れた。
 知らない街を彷徨いたい、という願望を満たしたくなって、横須賀にある知人の「町中華」へ行くことにした。普段はクルマを使うのだが、今は車検中でない。
 JR鎌倉駅からJR横須賀駅。その中華料理店は県立大学の先にあって、神奈川県の詳細地図帳を見ると、徒歩50分くらいか。ちなみにネットで県立大のHPをチェックしたら、JR横須賀駅から徒歩40分とあった。
 横須賀駅からバスはある。
 が、バス代を倹約したいことと、横須賀市の入口から中心部の繁華街を突き切るように歩き抜けて、うだつの上がらない男の孤独な彷徨、という役を演じたかった。
 横須賀駅に着いたのは正午過ぎ。
 まずは京浜急行横須賀中央駅に向かって歩いた。イージス艦や駆逐艦が泊まる軍港があって、その先に米軍基地があって、ドブ板通りがあって、このあたりから「ガイジン率」が高まり、さらに週末は横須賀バーガーとか海軍カレーを食べに来る物好きな連中が観光気分で屯っている。今日は横須賀中央駅周辺の秋祭りらしく山車が巡幸していたものだから、地元民も含む人出がすごくて、歩くのに往生するくらいだった。昨日、渋谷のハロウィン騒動を報じるニュースを見たが、米基地関係者が行き交うドブ板通りでカボチャのデコレーションをしている店など一軒もあらへん(笑)。
 この辺りまでは歩くのが楽しかったが、30分を過ぎた時点からだんだんとしんどくなってきた。見栄も外聞もなければ地べたに座り込みたいくらい。が、ここまで来て引き返すわけにも行かず、県立大学方面に向かってひたすら歩いていると、途中で方向感覚を失ってしまった。安浦って町名のプレートが電信柱に掛かっている。昭和30年代まであった売春街はどのあたりだ?
 iPhoneで進むべき方向を探すも、これが全然役に立たない、というか、私の使い方が下手なものだから、どこにいるのかは分かるのにどちらへ行けばいいのか分からない。
 道行く誰かに尋ねたかったが、孤独な男の彷徨という当初のコンセプトに反する気がする。お愛想よく笑顔を取り繕って「三春町3丁目に行きたんですが、道を教えてくれませんか?」はないやろ。行き倒れてもひとり、山頭火だ。
 知人の絶品中華屋に着いたのは、横須賀駅からちょうど1時間後だった。
 挨拶もそこそこに、「横須賀駅から歩いて来たので、お腹が減って倒れそうだ。今日はごはんを大盛りにして、酢豚を定食に!」と注文。酢豚と、ごはんと、自家製メンマと、ワカメスープが付く。この15年で初めて、ごはん大盛りにした。
 帰りはバスに乗ったら? と言われて時間まで調べてもらったのだが、帰りも歩いて帰ることにした。来た道と違う道を歩きたい。歩いて歩いて駅までたどり着いたら、なんか自信が生まれそうだから。かれこれ1カ月以上、体調が思わしくなくて、このままだと自分が(さらにさらに)ダメになりそう、と悩んでいるので、せめてこの程度の街歩きは完遂したい。
 帰りは結局1時間10分くらい掛かってしまった。さびれたシャッター商店街とか、怪しげなフリーマーケットとか、引っかかるポイントがあって、たびたび立ち止まった。
 俺が詩人なら一篇の詩を書けるのにな。
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