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2018年05月14日21:31

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地下アイドル事情

 午前11時、退職仲間2人と私の3人でティータイムを持った。うち1人は大学で同期、会社でも同期入社の男だ。入社したとき、私は彼を知らなかったのだが、彼は私の顔を見るなり「あっ、あいつだ! 講義室で始まりのチャイムが鳴ったときに突然ドアを開け、政治的なスローガンを叫んでいた奴だ」という記憶が甦ったらしい。
 彼と話をするのは何年ぶりだろう。10余年? 
 今日は彼が話題の中心人物になった。早期退職した鎌倉組2名と違って、彼は定年まで勤め上げた。で、昔話に花が咲くかと想っていたら、全然違っていて、彼の現状が話題の中心になった。
「実は会社を辞めてこの3年、ずっとメイド喫茶に通い詰め、地下アイドルを追っかけている」と相好を崩すような笑みを浮かべて語り始めた。
 話を聞いていると、これがめちゃ面白い。それは自身が分かっていて深みにはまる超世俗的な一種のバーチャル世界での体験だからだ。お笑い芸人のつくり話より数段、笑える。ありふれた旅行記より数段、生なリアリティがある。
 我々「書斎派」が口をあんぐり開けて感心する様を見て気をよくした彼は、おもむろにカバンの中から3冊のミニ写真集を取り出し、テーブルに広げてくれた。
 そこには(言っちゃなんだが不細工な)若い女の子のポートレートが載っていて、俵万智風の短歌が添えられていた。写真も短歌も彼に拠るものだ。
 地下アイドルに群がるのは20代のオタクだと思っていた、と凡庸な感想を述べたら、今の時代は20代から60代までまんべんなくファン層が広がっている、と彼は答えた。写真の中に、舞台上で歌っている女の子のヨリの写真があったので、「これって、観客席のいちばん前じゃないと撮れない写真じゃないか?」と疑問を口に出すと、「よくわかったね。2時間くらい前に行って席取りをするんだよ」と言われた。なるほど、何事でも熱意と体力勝負だ。
 2時間ちょっと3人で話し込んで解散。
 別れ際、闘病中の友人に重兼芳子の『たとえ気に病むとも』を渡した。

 今日は真夏のような一日だ。駅前の喫茶から家路につく間に汗が出るくらい。昨日の夜は幾分肌寒くて、2時間弱、石油ストーブを焚いていたのに、一転してこの暑さ。
 昨日、正確には今日の午前零時55分、日テレで「NNNドキュメント 南京事件�供廚�放映された。午前零時半くらいに寝る習慣で、レコーダーなんて持ってないゆえ、見ることは諦めた。
 が、予想通り、YouTubeに上がっていたので、違法ながら見てみた。
 1カ月前にジョン・ラーベの『南京の真実』を読んだばかりだったので、ドキュメントの内容とラーベの日記の共通点と相違点を意識した。
 ナレーターの口調が、小中学生の頃に視聴覚教室で見た教育映画のような硬質で、おとなの威厳が感じられる。私はもう充分におとなであるが。
 こういう歴史的な検証は、私のような死に行く者ではなく、教養と知性を磨く時期の中学生高校生が見るべきドキュメンタリーだろう。ネトウヨや稲田元防衛大臣の「南京虐殺はなかった」という説が正しいのか、NNN取材班が暴く「虐殺は間違いなくあった」説が正しいのかは、一人一人の学生が自分で判断するべきだ。
 道徳にしても日本史にしても、上から教えるようなジャンルでは毛頭ない。
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