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2016年03月06日21:31

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行き交う人はみな美しき

 3日木曜日の正午、上野公園を歩いていた。知人が東京都美術館での年1回のグループ展にオブジェ作品を出品しているので、毎年この時期に行って観賞することが楽しい義務になっている。私にあって上野公園はいつも晴れている。この日も目が覚めるような快晴で、しかも今年いちばんの暖かさということだった。
 上野公園は面積の数字以上に広く感じる。理由はいくつかあるだろうが、歩道の幅が広いことや西側に不忍池や動物園があって高い建物がないこと、そして適度に歩いている人が多くてしかも国内・海外からの観光客やいかにも健全な家族連れや一家言がありそうな散歩者やホームレスなどなど多種多様であること。さらに美術館が3館いいレイアウトで配置されていることや、必ずと言っていいほど大道芸が行われていることも、個人的には惹かれる。
 ずっと体調が悪くて上京したのは1月3日以来だった。半田舎暮らしなこともあって、都会の公園のありふれた光景の良さが目についてしまう。
 行き交う人はみな美しき。
 与謝野晶子の有名な歌「清水へ祇園をよぎる桜月夜 今宵会う人みな美しき」の一部をなぞっただけのような文句だけど、美術館に入る前に風景を観賞する歓びを感じてしまった。汚れた衣装をまとったホームレスさえもが、目の前に広がる風景画として違和感がなかった。美術館で絵を見たら、帰りに不忍池にも寄ってみよう。
 数分後、東京都美術館へ。大規模な展覧会なので、見る前に喫煙所で一服した。昨年、ここでのっぽさんなる俳優さんと話をしたんだっけ、と懐かしく振り返る。この日はそこのベンチで外国人観光客とおぼしき青年がお箸でお弁当を食べていた。喫煙所なので煙いだろうと、可哀想な気になる。だから彼からかなり離れたところで吸った。
 出品数はどれくらいなのだろう? 展覧会場を回って少しでも興味を覚えた絵やオブジェがあると止まって観る。あっという間に1時間が過ぎ、もう一度ふりだしに戻ってから、好印象の絵を観て回った。
 15時に新橋でフリーエディタと会うことになっている。体力が保つかな、と不安を覚えつつ、不忍池に回ってしばし夏目漱石の「三四郎」を思い出しつつあまりきれいではない水面を眺めた。そしてアメ横に行って、スパイスの殿堂と言われている「大津屋」に寄ってカレー粉などを買い、御徒町からJR山手線に乗って新橋へ。腕時計を見ると待ち合わせまでまだ15分もあったので喫煙所で一服。で、10分前にSL前へ行くと、彼は既に私を待っていた。早っ(^^)//゙゙゙。
 ある頼み事があるので彼と会っているのだが、ついつい本の話になってしまう。といっても出版の相談なのでまるっきり関係がないわけではないのだが。あっという間に1時間が経ったところでようやく本題となって、15分ほど希望などを述べて打ち切った。
 午後4時台だと横須賀線はほぼ座ることが出来る。念のため、最後尾の車輌に乗ったららくらく座れた。いい席なので持参していた早川義夫の『たましいの場所』を読んだ。ページが残り少なくなってきたので名残惜しくて仕方ない、というほどに、私にとっては面白いエッセイ集だ。この本と前後するように『まともな男になりたい』(里中哲彦著 ちくま新書)を読んでいて、人間を司っているのは謙虚さと誠実さであるという双方の仄かな示唆が重なり合ってしまい、どっちがどう言ってたんだっけ? と頭の中が混乱してきた。稀代の読書人・松岡正剛が繰り返し述べていてその通りなのだが、読書メモをとることや本にアンダーラインを引くこと、書き込みやドッグイヤー(ページの隅を折る)をして本を汚す勇気を持たないと、読んだ端から忘れていって、結局読まないのと同じことになってしまうんだよなぁ。カタチにならない教養にはなるんだけど。
 この日はなんとか東京で2件、用を済ませることが出来たが、体調不良もあって、毎日毎日、本ばっか読んでいる。相変わらず読書ノートはまだ使っていない(苦笑)、
 
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