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2015年11月12日23:38

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満ち足りた一日

 朝8時起床。ホーローのケットルを火にかけ、沸く間に青汁とビタミンC一粒を飲み、珈琲豆をミルで挽く。毎朝のルーティン。朝刊は沢木耕太郎の連載小説「春が散る」から読み、ラズリの視線が痛いと感じたところで朝食を与える。そして散歩。
 この数日、寒いようで暑いと感じ、とらえどころがない。でもそもそろ自室に絨毯を敷く季節だろうと思って物置から出して干した。晴れてくれると黴臭さがとれ、その上に座り込んで本を読むのが心地いいのだが。ついでに布団も干し、ラズリ用の一畳絨毯を浴室にて足踏み方式で洗ってベランダに干した。こんなことをしていると、あっという間に小一時間が過ぎていく。こういう家事はほとんど頭を使わない、というか無我の境地にいることがあって、いい休息時間だ。
 テレビニュースで韓国の一斉大学試験ネタが流されている。毎年、遅刻しそうな受験生を追う映像があってそんな能天気な受験生がいるのか、とテレビ局の人間は嗤っているのだろうが、日本にもいる。かくいう私で、合格しても行くつもりがなくて緊張感が乏しかったたせいから、初日の試験で40分くらい遅刻してしまったのだった。受付の怖そうな50がらみのおばちゃんから「まあ受験だけはさせてあげよう」と言われ、結局その大学に通う始末となったのだが、そのおばちゃんは体育実技担当の教官だった。これもなにかの縁だろう。
 午後1時。クルマに乗って鎌倉と藤沢の市境にあるラーメン屋に行った。「ラーメンビック」に行くのはかれこれ2年ぶり。老夫婦とその息子らしき30代後半の店員でやっている店で、昨今のラーメンブームや「食べログ」などのネット情報にも乗り切れぬ昔ながらのラーメン店だが、味はいい(ちなみに店内では一切、撮影禁止という時代遅れの店だ)。白濁した濃い味の「家系」ではないものの、豚と鶏の骨を長い時間煮出したスープは見た目より濃厚。
 私が入店したときは、客が1人だった。で、オヤジが私ひとりのためにラーメンを茹で始めたのだが、彼を目で追っていると「すまないね、こんな私のために」と思う。別に現在の自分を卑下しているのではなくて、昔から私は誰かが自分のために動いてくれるとこんな感情が湧いてしまう。丁寧な働き方をされると、とりわけそう思う。
 このラーメン店に駐車場のような気の利いたサービスはないので、そこから1キロ近く離れたブックオフの広い駐車場に駐めた。だから食べ終わってからブックオフに入店。読まないといけない本がソファーの脇に10冊くらい積まれているのであまり買い込みたくなかったのだが、背表紙を眺めているとつい買う気になってしまう。ニーチェの『若き人々への言葉』(角川文庫)を手に取ったらカバーに文言がバーコ印刷で書かれている。
  君たちが高く抜き出ようと欲するならば、自分の脚を使え!
  人に持ち上げられるな、他人の背や頭の上に乗るな!
 吉野作造の『君たちはどう生きるか』みたいな内容だな、などと思いつつ、あとがき代わりの解説を開いてみたら、いとうせいこうが書いていた。私と同世代のおっさんがニーチェのこの書を読んだ、ということに背中を一瞬押されたような気持ちになって、これは買い。
 新書棚に花村萬月の『自由に至る旅』があって。コツコツと萬月の本を読んでいる身としてはこれも買わなきゃ。
 文庫と新書を中心にそれからもだらだらと面白そうな本を探し、片手いっぱいの本を買ってしまったのだった。それとは別に雑誌棚で「ENGINE」の2012年11月号があって表紙にフォルクスワーゲンのup!というクルマが写っていたので、ついこれも買ってしまった。いま乗っているプジョー1007よりさらにコンパクトで可愛いクルマというと、up!も含めて3台くらいしかない。偽装工作でフォルクスワーゲンのイメージは地に落ちてしまったので中古車価格も下落してくんないかな、数年先の候補はup!にしよう。まだ乗るだけの力があればの話だが。
 結局ソファー脇の積ん読本の高さが10センチくらい増えてしまい、頭が痛い。
 夜、サッカーW杯予選、対シンガポール戦をテレビ観戦。久しぶりに安心できる試合だった。
 
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