午前11時、駅前のエクセルシオールで退職仲間の友人とお茶。
彼は自称ドッグトレーナーゆえ、1時間の会話で1度くらいは犬の話題が出る。今日は裏駅(鎌倉駅西口)のそばにオープンしたペットショップの情報を彼から聞いた。
「高級そうなショップで、100万円のトイプードルがいる」
と彼はおもしろおかしく語る。青山のペットショップじゃあるまいし、と私が茶々を入れる。彼も私も飼っているのは保護犬ということもあって、ペットショップ自体が別世界という共通の前提がある。欧米の例を出すのは二等国の国民みたいでイヤなのだが、イギリスやドイツではそもそもペットショップなど動物虐待であるという見解があって、存在すらしない。ペットをネット通販で買う、というのも論外だ。欲しい人はブリーダー業者のもとへ行くか、趣味で個人的にやっているブリーダー宅で実費を払ってもらってくるか、保護犬(猫)を飼う、というのが一般的な方法らしい。
彼と別れていったん家に戻った。が、図書館の予約本を取りに行かなくてはいけないので、午後2時、自転車でふたたび家を出た。最初に目指すのは、ペットショップだ。
100万円のトイプードルが本当にいるのなら見たい。
彼が教えてくれた場所に行くと、まるで美容院のようにシャレた店だった。きれいな制服をまとった店員は、アキバとか渋谷で凡庸なイルカのリトグラフを扱うインチキ画廊の美人店員(特長は揃いも揃って無機的な顔立ちで、男をどぎまぎさせるくっきりメイク)を思い起こさせた。私の趣味である。それはともかく、入口から2番目のケージに、トイプードルの赤ちゃんがいた。62万円というプライスが示されている。100万円ではなかった、騙された。
次のケージにいたのはフレンチブルで45万円だった。うつむいて眠っているため表情はうかがえないが、毛並みがいい。ところで私の商品価値は45万円くらい?
で、ラズリについて、もし値段をつけるとしたら、これが100万円と言えなくもない。
滋賀県の山間部でブリーダーが崩壊し、まず地元の動物愛護団体が救出した。ボランティアたちが32匹のボーダーコリー全頭を手分けして洗い、獣医師が健康診断をしたあと、数日、一時預かりをした。で、ボーダーコリー・レスキューという全国的なボーダー保護活動団体のボランティアが一括引き取りをすることとなって有志が滋賀まで赴き、32頭は東北から九州まで、各地のボランティアメンバー宅へいったん引き取られた。ラズリはまず富山だか新潟だかのメンバー宅で1週間ほど保護されたそうだ。そして、本格的な一時預かり宅となる埼玉県のご家庭に引き取られ、丸3カ月、人間との共生を家の中で学び、しつけもある程度なされた。そこでも獣医による精密検査などがあり、ワクチン接種と避妊手術もおこなわれた。ブリーダー崩壊からうちに来るまで、丸4カ月=120日だった。もしボランティアがいっさい介在しない「仕事」だとしたら、輸送費や医療費も含めると、100万円を軽く超えそうだ。
動物に値段をつけて譲渡がおこなわれることに異論はないし(当然、私も「ラズリ代」を一部負担した)、こういうショップで買われた犬はラズリより高いペットフードを与えられるだろうから、まあいいや。たぶん鎌倉の犬猫好きはこんな店で買わないけど、この数年で東京から鎌倉に越してきた都会派が好きそうな感じだ。
ペットショップから図書館へ自転車で移動。
予約本を借りてから「AERA」と「本の雑誌」と「現代思想」で1時間。
AERA=小島慶子のエッセイが相変わらずいい。
本の雑誌=2014年のベストテンに入った本を私は一冊も読んでない(^^)//゙゙゙
現代思想=ピケティの『21世紀の資本』を読むつもりはないが、本年度の必読書ナンバーワンであることは間違いない。
夜、100万円のラズリを風呂場で洗った。惚れ惚れするくらい可愛い。
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