終電をいくつ見送っただろうねと乾杯の合図をくりかえす夜 #短歌
足を踏み外すことすらないままに過ぎ去る月日を指でなぞる夜 #短歌
登ることのない段差を数えるように九月の雨を眺めている #短歌
パスタとは関係のないお話を君がするか、全部忘れた #短歌
十本の指で足りてしまう過去ばかり抱えて歩く夜のガード下 #短歌
安い居酒屋の蛍光灯の下で明日の味噌汁の心配をする #短歌
キャベツでは違う気がする 冷たい水に触れるような不器用な日々 #短歌
道を訊くあなたの声を思い出す帰り道ならいくつもあった #短歌
つめたい足の裏の感覚をかばうようにゆっくり歩いてみるよ #短歌
夜の底沈むモップの白さ見て誰かのせいにしたくなる午後 #短歌
結露した窓のパッキンの黒 そこだけがまだ夜のふりをする #短歌
お湯を沸かす音を聞きつつそのままで明日の話を少ししようか #短歌
通帳の残り一桁見つめてるあなたの肩をぎゅっと抱きたい #短歌
レシートのポケットの奥にしまいこみ遠くの空にため息をつく #短歌
形ないものをつかもうとするようにあかるい部屋に影をおとすよ #短歌
大丈夫うまくいくよとカーテンを開けてくれた君がまぶしい #短歌
青空に少し曇りのかかる空 パスタを巻いて窓の外見る #短歌
目覚めても消えない熱を確かめるようにあなたの愛に触れる夜 #短歌
かたちあるものにしか触れられない夜の真ん中で息をしている #短歌
枕元に置いたスマホの明かりだけがたしかに夜をつないでいる #短歌
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