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2026年09月29日14:23

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9/24 ルーブル美術館展 ルネサンス@国立新美術館

今年一番多くの人の熱い視線を受けた美女は、フェルメール《真珠の首飾りの少女》@大阪中之島美術館とこのレオナルド・ダ・ヴィンチの《女性の肖像》ではないだろうか。
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こちらの展覧会は写真撮影一切不可となっている。混雑を避けるため賢明だ。
そして、その観覧方法にも工夫がある。近くで正面から見たい人は別に列を作って並ぶ。1人何秒までというふうな時間制限はないようだが、皆数十秒で静かに次の人へ譲っていた。正面には一度に3人ほど並ぶが、作品はフェルメールのそれより大きいので端であっても斜めからという感じはしないだろう。そして、かなり近い。
私が行った日は平日で、午後2時前だったが、推定60分待ちであった。会場に入るのに、20〜30分待ちであるから、待ち時間の合計は1時間半くらいであろう。



では、並ばないでこの作品を見た場合どうだろうか。左右ロープを貼ったところまで行って斜めから見ることになる。だいたい60度の角度。絵を斜めから館賞する限界角度かもしれないが、混んだ展覧会ならしばしばそうして見ることも多い。驚いたのは、斜めから見る人は少なくてロープ最前列まで難なく行かれたこと。つまり大方の人は、正面から見るために並んでいるのだ。ちなみに斜めから見れば物理的に遠くはなるので、単眼鏡が大変役に立った。私にしてみれば十分な鑑賞ができた。



このように、私は「斜めから見る」を選んだのだが、待ち時間が60分でなく30分なら迷わず並んだと思う。並ばなかったのは、体力的な問題と私の目下の関心が西洋美術でなく江戸絵画に傾いていたせいであるが、もし、ダ・ヴィンチを見たい!という思いでこの展覧会に行くのなら、正面から見ることをお勧めしたい。その理由は後述するが、ちゃんと修復がなされているのだな、と思うほど色鮮やかで、美しく、魅力に満ちた作品だった。

ただし、今後もっと混むと思われる。斜めから見るのも人の頭越しでは面白くないだろう。どうぞお早めに、平日や夜間狙いで。

https://www.nact.jp/exhibition_special/2026/louvre2026/
https://www.ntv.co.jp/louvre2026/
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15世紀から16世紀にかけてヨーロッパ各地で隆盛を極めたルネサンス美術。本展は、ルーヴル美術館の膨大なコレクションから選び抜かれた50点余りの作品を通して、この豊かで複雑な芸術動向の本質をなす、いくつかの特徴に光を当てます。
ルネサンス期の人々は、人間の主体性がより重視された古代ギリシア・ローマの文化に再び価値を見いだしました。このたび初来日するレオナルド・ダ・ヴィンチの《女性の肖像》、通称《美しきフェロニエール》は、人間の個性への関心が高まった時代であるルネサンスの肖像芸術の傑作です。レオナルドは、人物の外見の特徴をとらえるだけでなく、その内面に潜む複雑な感情を描き出すという難問に挑み続けた芸術家でした。
本展では、まさにルネサンスを象徴する人であるレオナルド・ダ・ヴィンチから導き出した4つのテーマ ——旅、技法の革新と洗練、古代へのまなざし、肖像芸術の隆盛—— に基づいて、絵画から彫刻、版画、素描、工芸まで、多彩な作品を紹介します。ルネサンス美術の真髄に触れる貴重な機会となるでしょう。


1旅

ヴェネツィアの画家 《ヴェネツィア共和国の使節団を迎えるダマス クス総督》 1511年頃
いきなり色鮮やかな作品が登場。画面右、門の横のソファに座っているのがダマスクス総統だろうか。他の人とは違う凝った?ターバンを巻いている。イタリア人にとって、東方イスラム世界は見るもの何もかも新鮮で、駱駝や鹿、猿までも描き加えたのだろうね。
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アルブレヒト・デューラー 《サイ》 1515年(初版)
実物を見て、個人的にコーフンの私。え?これ、木版だったの?とさらにびっくり。デューラー自身はサイを見たことがなく、他人の記述と簡単なスケッチを頼りに想像力を膨らませて描いたというが、これは大変な人気となり、7版も重版、本物の姿が広く認知されるまで、サイと言えば、このデューラーの絵がそのものと思われていたらしい。

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なぜコーフンしたかというと、府中市美術館で見た、洋風画家・石川孟高《犀図》と比べたかったからだ。石川は、蘭書「ヨンストン動物図譜」の銅版画を模写しているのだ。それがこちら
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「ヨンストン動物図譜」↓は17世紀半ばにヨーロッパで出版された動物図鑑で、日本の洋風画に絶大な影響を与えた。ここにデューラーの名はないが、デューラーに木版画を元に銅版画を作成したことは明らか。
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デューラーもまさか自分が想像で描いたサイの絵が、極東の小さな国で大ウケだったとは想像だにしなかったろうと思うと楽しい。

エル・グレコ《アントニオ・デ・コバルビアス・イ・レイバの肖像》1597ー60年頃
モデルはトレドの有名な法学者で人文主義者。エル・グレコと親しかった。
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南ネーデルラント(?)《田園の合奏 》
壁の冷気を抑えるための大判タペストリー。こんなに保存状態がいいなんて。当時流行の髪型や衣服は、本展メインのダ・ヴィンチ作《女性の肖像》のファッションと同じである。
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2 技法の革新と洗練

ピエール・クルテ《中央に突起のある丸皿「大地と海」》1568年 エマイユ画/銅
17世紀リモージュはエマイユ(七宝)が盛んに行われた
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マルコ・デンテとラファエロ・サンツィオの原作に基づく 《棘に傷つくヴィーナス 》16世紀前半
マルコ・デンテとラファエロ・サンツィオの原作を元にしたものだが、ヴィーナスのこのポーズが大ヒットして
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皿になったり
フランチェスコ・クサント・アヴェッリ ファイアンス《丸皿 プッチ家の紋章をあしらった「ローマ の頽廃》
でも、あまりにもムキムキすぎる…
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小像になったり
バルテレミ・プリユール 《身づくろいする女性》1585–1600年
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マルカントニオ・ライモンディ
《 ラファエロ・サンツィオの原作に基づく パリスの審判》 1513–1518年頃
マネの《草上の昼食》の元になった有名な作品ね(右端の3人に注目)
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フランス、おそらくパリ 《「田園風陶法」による楕円水盤》1600–1650年
「田園風陶法」を初めて知ったときはのけぞった。実際の蛇、トカゲ、カエル、魚、昆虫、植物などの動植物から直接型を取り、それを粘土で再現して器に配置するのだ。それを、実用ではないにせよ、皿や水差しなど食器にしてしまう感覚は現代ではかなりエグい。でも、自然科学に関心が高まったルネサンスならではなのかもしれない。
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3 古代へのまなざし


イタリア 《小像「アンゲロナ」》16世紀
ルネサンスの時代、古代ローマギリシャブームが起こり、ドアの把手など小さなブロンズ像が発掘されると、高値で取引されたという。で、展示の品はその「まがいもの」わざと古びさせて本物に見せているらしい。画像はないが、今も昔も変わらないパチモン商法に笑う。


ランベルト・スストリス《マルス、ヴィーナスとキューピッド》1548–1552年
大型作品。ヴィーナスの足元では、今まさに交尾しようとしているつがいの鳩にキューピッドが矢を射るところ。遠くには、愛人・軍神マルスがやってくる姿。
ヴィーナスの、実際よりも長い、優美な体の曲線には、アングルも刺激を受けたのではないかしら。
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サンドロ・ボッティチェリ《 5人の天使に囲まれる聖母子》1470年頃
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ラファエロ・サンツィオ 、ジュリオ・ロマーノ
《豊穣 または ケレス》1517–1519年頃
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《聖母子と聖エリサベト、洗礼者聖ヨハネ  通称 小さな聖家族》 1517–1519年頃
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もともと1つの携帯用小型祭壇画(二連画)で、《豊穣 または ケレス》を横にスライドさせると《聖家族》が現れる構造になっているとのこと。
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ケレスの方は、まるで騙し絵のように像が立体的で、左右の装飾もまるで石のように見えるが全て描かれたもの。聖家族はラファエロらしい美しさ。古代神話の神とキリスト教の神が一緒になっているのも興味深い。
妄想お持ち帰りはこのセットに決定。

ルカス・クラーナハ(父)《三美神》1531年
2016年に西洋美術館で「クラーナハ展」があり、すっかりその毒気に当てられてしまった。唯一無二の画家だと思う。今回はこの小さな絵1点だが、えも言われぬ妖艶さ。
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4 肖像芸術の隆盛

バッチョ・バンディネッリに帰属《ミケランジェロの肖像》1522年
制作中は埃をかぶることが多いのでターバンを頭に巻くらしい。ってことは、これはまさに画家の姿をしたミケランジェロ像なわけね。
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バルトロメウス・ブロイン(父)
《ケルンの商人で同市参事会員フィリップ・フォ ン・ガイルと5人の息子の肖像 》
《カタリーナ・フォン・ガイルと二人の娘の肖像》
1536–1537年頃(?)
この時代、息子は父親と、娘は母親と一緒に描かれたそうだ。2つの作品で1家族。後ろの額に飾ってあるのは家の紋章。
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ティツィアーノ・ヴェチェッリオ《フランソワ1世の肖像》1538年頃
メダルの肖像を元にして描いたので、顔は横向き。ただし、体は「四分の三正面観」。この「四分の三正面観」像というのが本展の肖像画のキーワードになっていた。
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そして、真打ち

レオナルド・ダ・ヴィンチ《女性の肖像  誤って付された別称 美しきフェロニエール》1490–1497年頃
身体は向かって左側に向け、首をこちらに向ける女性。その視線はまるでこちらを見据えているようでもあり、鑑賞者のその先、やや右側を見ているようでもある。
上述したように60分並んでも見る価値があるというのは、この絵と正面から向き合った時、目が合うような気がするか、さらには何を思ってこちらを見ているのか、と思いを巡らすことができると思われるからだ。
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滑らかな肌をはじめ、ドレスの質感など細部まで緻密に描かれた写実的な表現で、そのリアリティさにドギマギする。
調査によると、ダ・ヴィンチは、頭と体の向きを反対方向に強調するように修正し、また女性の右目をわずかにずらして、その視線を曖昧にしたという。ひえーっ。
人物を際立たせる真っ黒な背景と、鑑賞者を拒絶し、その距離を取るような手前の手すりも効果的。

モデルの髪型や衣装が当時流行だった証拠として↓の作品も
ジャン・クリストフォロ・ロマーノ《ベアトリーチェ・デステ1490–1491年頃
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そして、もう一つ重要な資料作品を従えている。
↓
ロンバルディアの画家《女性の肖像 通称 美しきフェロニエール》1500–1512年頃
実は、ダ・ヴィンチの絵のタイトル=モデルの名前は《美しきフェロ二エール》ではなく、この絵が、それなのだ。一言で言えば、ルーブル側の管理ミス、取り違えだったのだが、後世画家アングルがダ・ヴィンチの絵に《美しきフェロ二エール》とタイトルをつけて複製版画にしたのが広まってしまった。そんなわけで、今更修正するわけにもいかず、ダ・ヴィンチの絵には《女性の肖像  誤って付された別称 美しきフェロニエール》とタイトルがつけられているらしい。
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本当の、フェロ二エールさんは、ダ・ヴィンチの女性に背を向けて飾られていたよ(汗)



ちなみに、ダ・ヴィンチの女性は、ミラノ公ルドヴィコ・スフォルツァの愛妾、ルクレツィア・クリヴェッリだという説が有力。彼女はルドヴィコの妻の侍女であった。で、ルドヴィコの妻というのが、先ほど、髪型や衣装で紹介した胸像のモデル、ベアトリーチェ・デステだという。



この展示室、観客のいない夜になると女たちのバトルが始まるのではないかとちょっと背筋が寒くなった(笑

12月13日まで

【追記】
マイミクさんのリクエストで、11月3日再度観覧。
10時ジャストに入場して一目散にダ・ヴィンチをめざす。まだあまり並んでいなくて、10時から10時半の間に3回並ぶことができた。
画像で見るのとも、横から見るのとも全然違う印象。挑むような目つきだと思っていたが、正面からじっくり見ると口元に微かに笑みを湛えて、優しい顔立ち。美しかった…
4回目の時は列は別室に延びていてすでに50分待ちとなってた。先手必勝。

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