まばゆい照明に目がくらみ間違えたまま今日を歩いてゆく #短歌
非常口の灯りがひとつ点滅す 誰の人生も逃げ場所がない #短歌
正しいかどうかなんてわからないまま靴の紐だけきつく結んだ #短歌
立ち止まる理由はなくても立ち止まり一曲ぶんだけ急がない日に #短歌
売れなくて困るものほど好きでした ぼくも似てると笑われながら #短歌
どちらにせよ君はもういないからどちらでもいいやと煙を吐いた #短歌
選ばれなかった言葉たちが水底で重なり合って光を失う #短歌
喉元まで出かけた正解を飲み込んでわたしは今日も生きていくのだ #短歌
心臓が脈打つリズムを裏切ってまどろみのなか許しは満ちる #短歌
地上のすべてが駅へと吸い込まれぼくは何度も出口を忘れる #短歌
選択肢とは増えるほど減るものだ 塩は三つで世界は足りる #短歌
泥水に濁っていたはずの視線 壊れてゆくたびひかりが滲む #短歌
誰のことも待たずにひとりライブ前 さざめきだけが私を囲む #短歌
形さえ失くせば空になれるかな ひかりを纏い溶けてゆく今日 #短歌
コピー機の眠そうな灯を見れば空想だけが定時を過ぎる #短歌
世界には役に立たない色があり だから夕焼け信じてしまう #短歌
赦しとは劇的なことではなくてバケツの水位を見に行くこと #短歌
愛よりも生活のほうが先に来てだから言葉は本物になる #短歌
カーテンの隙間で息をする星を見落としていた白い画面で #短歌
電源を切れば静かな夜でした 最初からそうだったみたい #短歌
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