写真には写らないものばかり見てシャッターをまた押してしまった #短歌
やさしさは木陰ではなく人の名を母音にそっと宿っている #短歌
自販機のつめたい水をわけあえば影まで少し海になってる #短歌
ひとりぶん残しておいた白い布 雲海のつづきへあなたが座る #短歌
その安さ確かめ合って抱き合えばまた明日には壊れてしまう #短歌
その余白 言葉にできないやさしさが下手なインクで滲んでいるよ #短歌
伝えたい気持ちが少しだけはみだした その言葉だけが私の場所だ #短歌
恋愛は路線図よりも複雑で乗換案内まだ出てこない #短歌
エキストラのような僕らの日常をナイフが静かに切り分けてゆく #短歌
薄すぎるフィルム越しには何も見ず僕らはただの輪郭になる #短歌
きれいになった部屋を見渡して思う大切なものも捨ててしまった #短歌
歪こそ光の正しい翻訳で写真は僕を少し誤読する #短歌
柔軟剤すこし多めに入れたから明日は今日を許せる気がする #短歌
コンビニで買った炭酸ぬるくなるまでの自由を芝生が照らす #短歌
深夜二時 ぬるい炭酸水を飲む 溺れることもできない僕ら #短歌
やわらかな夜の終わりに折りたたむあなたのシャツの知らないにおい #短歌
ダイソーの透明なカップで飲む水が驚くくらい味気ない夜 #短歌
切りすぎた爪の先から愛がこぼれる 見ないふりして掃除を続ける #短歌
よごれてもいいから放っておいてくれ 愛着なんてゴミ溜めがいい#短歌
来なかった夏のかわりに風吹けば花は名前をそっと置いてく #短歌
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