帰り道缶コーヒーだけ甘くして明日もわたしはちゃんと笑える #短歌
光より速いさびしさがあることを踏切の鳴る夕暮れが知る #短歌
思考より筋肉のほうが知ることを守りは静かに反復してる #短歌
洗いたいものの名前を知らぬまま月に薄めた水をながめる #短歌
鍵をかけ部屋の静けさ満ちるたび あなたの冗談だけ灯ってる #短歌
玄関に脱いだ一足見ていると帰ってきた日が積もってゆく #短歌
白だから何色にでもなれますね そんな励まし少し困ります #短歌
改行のたびにあなたが増えていく 返信欄はまだ春のままです #短歌
死にたいを比喩として選ぶ夜だから句点ひとつもまだ信用しない #短歌
誰だって代入可能なきみなのに固有名詞だけ胸を刺しつづける #短歌
立ち入りを許されぬほどに凛として君の心は鍵をかけてる #短歌
踏み込まないことが優しさだなんて嘘だよ看板ごと蹴り倒したい #短歌
「私有地」と書くしかなかったんだろうね 本当はだれかに見つけてほしいのに #短歌
触れようとすると痛くて離れてく そんな距離感を愛と呼ぶのか #短歌
さようならと音が消えるまでが今日 はじまりよりも美しいはず #短歌
ゴールなど最初からなかったのかもしれない 鳴り止まないピストルが悲しい #短歌
いつか終わることを忘れたふりをして今日のあとを駆けていくのよ #短歌
かゆいところ?心の奥のひりつきを掻きむしる権利も僕らにはない #短歌
静かなる部屋の温度が下がりゆく乾いた喉を潤す術もなく #短歌
その角をそろえる指が好きでした 夏は案外そういうところ #短歌
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